【12月22日 People’s Daily】このほど、中国の水中考古学の研究によって発見された史上最大の木造沈没船の「長江口2号」が、4時間以上に及ぶ水中連続引き揚げ作業により、長江河口・横沙水域から引き揚げられた。150年以上の時を経て、この歴史的な「タイムカプセル」は、豊富な歴史情報を携えて再び陸上に揚げられた。今回の引き揚げは、中国の水中考古学における一里塚となる重要な成果であり、中国の海洋文明の研究と交流・相互参考研究を深めるための貴重な実証となるものだ。

「長江口2号」古船は、中国、さらには世界で発見された古代の木造沈没船の中で、体積が最も大きく、保存状態が最も良く、船内の文化財が最も豊富な船の一つだ。

 2015年の「長江口2号」古船の発見以来、7年間の水中考古学調査と探査を経て、この木造帆船は清朝同治時代(西暦1862〜1875年)のものと確認され、残存長約38.1メートル、幅約9.9メートル、31の船室が確認され、清末の古船史の空白を埋めるものであることが分かった。

 長年にわたる水中調査を経て、「長江口2号」は、完全に出水し、修復可能な文化財の種類も数も多いことが分かった。船内からは景徳鎮窯磁器などの精巧で美しい文化財のほか、船体や周辺からは紫砂器、ベトナム製の水たばこ入れの壺、木製水桶の残片など多くの文化財が発見された。その後、元時代の磁器や高さ60センチの豆青釉の青花瓷などの完全な大型器物や、江蘇省(Jiangsu)の宜興窯の陶磁器も大量に見つかった。

 2022年9月6日、古船全体の引き揚げと考古学的保護活動が正式に開始された。11月21日、77日間にわたる海上での苦闘の末、船全体の引き揚げに成功した。古船の入ったケーソン(浮き箱)は、22本の巨大なアーチ梁(はり)によって水中現場でぴったりと隙間がないよう組み立てられ、長さ48メートル、幅19メートル、高さ9メートル、引き揚げた古船と土砂の総重量は約8800トンとなった。

「長江口2号」古船の船体や船舶用属具の保存状態は良好、船荷は豊富で、船内の多数の生活用品は、清末の商船の航行と船上生活の様子を生き生きと示し、中国近代経済貿易史、黄金水道と呼ばれる長江の航運史、近代海上シルクロードの研究にとって重要な物証を提供している。

 今後、「長江口2号」古船は、文化財保護と考古学的発掘の新たな段階を迎えることになる。現在、上海市委員会市政府は「長江口2号」古船博物館の建設準備を始めており、考古学的発掘、文化財保護、展示教育、考古学と無形文化遺産のライブエクスペリエンス、国際水中文化遺産の科学研究などを同時に行う予定だ。これも古船の考古学的発掘、全体移転、文化財保護、博物館建設・展示が同時に行われる世界初のプロジェクトとなった。(c)People’s Daily/AFPBB News