【12月21日 東方新報】中国初の国産大型旅客機「C919」が15年にわたる開発の末、ついに来春にも商用飛行を始める。欧州エアバス(Airbus)と米ボーイング(Boeing)の「2強」に対抗できるかが注目されている。

 C919は中国の航空機メーカー・中国商用飛機(COMAC)が開発。12月9日、初号機を航空大手の中国東方航空(China Eastern Airline)に引き渡し、上海市東部の浦東国際空港(Shanghai Pudong International Airport)から西部の虹橋国際空港(Shanghai Hongqiao International Airport)へ納入フライトが行われた。機体横には中国の印章をかたどって漢字で「全球首架(世界第1号)」とペイントされている。

 COMACは座席数78~90席のリージョナルジェット機「ARJ21」を開発し、2016年から商用飛行が始まっている。C919は158~192席と一回り以上大きく、客席に通路が1本あるナローボディ機。エアバスA320やボーイング737と同程度の大きさだ。航続距離は4075~5555キロ。

 中国民用航空局から今年9月、機種の安全性を示す「型号合格証(型式証明)」を取得。今後は100時間ほど試験飛行を続け、問題がなければ来年春に商用飛行を始める。実際の運航ルートとして想定している北京市、成都市(Chengdu)、広州市(Guangzhou)、西安市(Xi'an)、昆明市(Kunming)、蘭州市(Lanzhou)などの空港にも試験飛行する予定だ。

 C919は2007年に開発がスタートした国家プロジェクトだ。2017年に試作機の初飛行が成功。当初は2021年にも商用化を始める方針だったが、中国の航空当局にとって初めてとなる国産大型旅客機の安全審査のため、審査プロセスの確立自体に予想以上の時間を要した。

 C919はすでに中国国内の航空会社やリース会社から815機の発注があり、さらに11月の第14回中国国際航空宇宙博覧会で一気に300機の受注があった。中国の航空産業と航空業界は、C919が欧米企業の寡占状態を打破することを期待しているが、現在取得している型式証明は原則、国内のみの効力だ。C919を海外に輸出するには各国の型式証明が必要となる。世界の標準は欧米当局が事実上握っているが、それぞれ自国の航空産業を保護する姿勢が色濃いため、C919が世界を股にかけてフライするまで、まだ多くの時間を要しそうだ。将来的に世界最大の航空市場に発展するとみられる中国国内で、どれだけの実績を挙げるかが当面の課題となる。(c)東方新報/AFPBB News