【12月20日 Xinhua News】中国江西省南昌市の経済技術開発区にある日系企業、南昌三友生態科技では、従業員が竹材の加工にいそしんでいた。これらは竹箸や竹碗、竹スプーンになる。同社は今年、数百万元(1元=約20円)を投じて生産ラインのスマート化向上を実施した。屋田静子董事長は、中国が提唱する「竹によるプラスチックの代替」に将来性を感じたと語る。

 南昌生まれの屋田さんは、日本人の母と中国人の父を持つ。20歳まで中国で過ごした後に日本へ渡り学業を修め、経営の道に進んだ。1990年代に南昌に戻ると、竹製品や木製品など環境に配慮した製品を製造する南昌三友生態科技を設立した。

 同社は今年、創業29年を迎えた。従業員の8割が女性で、障害者も早くから雇用している。勤続27年で言葉が不自由な袁少青(えん・しょうせい)さんは手話を通じ、職場は安心感があり、仕事も思い通りにできると説明。仕事を通じて成長し、能力の向上と自己価値観も得られたと語った。

 同社の製品の8割は日本や欧米に輸出されている。2020年には新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により海運物流が停滞し、納期が遅延しそうになったが、地元政府が各方面に働き掛けてくれたことで事なきを得たという。

 中国は世界で最も竹資源が豊富な国で、世界の竹林面積の4分の1、竹材生産量の3分の1を占める。竹林面積や竹材貯蔵量、竹材生産量、竹製品貿易額のいずれも世界上位に入る。

 中国は11月に開催された「第2回世界竹籐大会」で、竹と籐の活用を通じた貧困・環境問題の解決に取り組む「国際竹籐ネットワーク(INBAR)」と共同でイニシアチブを提起。プラスチックから竹への代替に向けた協力を世界で深め、プラスチックの代替製品としての竹の強みと役割をよりよく活用するよう訴えた。

 中国では生態環境が重視されるに伴い、人々の環境保全意識も大きく向上した。屋田さんも中国が掲げる「プラから竹へ」という持続可能な発展方向に賛同しており、来年は竹製食器の開発と生産、工場のスマート化改造を強化することで生産効率と製品品質を向上させ、現在2割の国内向け製品の比率を高めていくとしている。(c)Xinhua News/AFPBB News