【12月25日 AFP】フランス南西部ボルドー(Bordeaux)近郊の養魚場で働くクリストフ・ボードンさんの仕事は、大きなチョウザメの腹に超音波診断装置を当てて卵の状態をチェックすることだ。

 モニター画面を確認して「キャビアだ!」と喜びの声を上げる。だが次の瞬間、「成熟しすぎだ!」と叫んだ。腹に卵がある期間が長くなると、卵が軟らかくなり、肝心の歯ごたえが失われてしまう。そうなったチョウザメは養魚池に戻され、2年後の次の生殖周期を待つことになる。

 年間およそ2万匹ものチョウザメを超音波検査にかけて、生産されるキャビアは計18トンに上る。非常に手間のかかる作業だが、フランスを代表する養殖キャビアブランド「ストゥーリア(Sturia)」にとっては、気候変動の影響で不可欠なプロセスとなっている。

 卵が成熟しすぎるケースが増えているのは、水温上昇により生殖周期が早まっているのが一因だ。

 かつて養魚池は冬になると厚さ10センチの氷で覆われたが、「10年ぶりに氷が張ったのを見た」とボードンさん。昨年は水温がチョウザメの生息に適した温度より5度も高い30度まで上がり、20匹に1匹が死んだ。