【12月18日 People’s Daily】中国江蘇省(Jiangsu)泰州市(Taizhou)で水郷の中に作られた田畑「興化垛田」が「2022年度世界かんがい施設遺産」に登録された。興化垛田は2014年には国連食糧農業機関(FAO)から「世界重要農業文化遺産」に認定されており、この「ダブル遺産」は地元の金看板となっている。

 江蘇省泰州市の県級市である興化市(Xinghua)は長江(揚子江、Yangtze River)と淮河(Huai River)の間に位置し、多くの湖沼が点在する湿地帯。地域の人々は代々、川底の土を積み上げて少しずつ田畑を作り、1000年以上にわたり大規模な土地開発を続けてきた。その農業開発技術とかんがい技術は、地域の生態環境を生かした土地活用として他に類を見ないプロジェクトとして評価されている。

 興化垛田では春が来るたびに一面に菜の花が広がり、田畑の間を舟が行き交い、江南地方の水郷の息吹を感じさせる。秋になれば菊が咲いてカニが食べ頃となり、興化市特産の龍香イモの収穫が行われる。農家は四季折々の収穫物に恵まれるほか、景観を生かした観光振興にも力を入れている。 2009年4月には中国初となる「千島菜の花フェスティバル」を開催している。

 興化垛田は国際的知名度も高く、2016年にはメキシコ市と自然文化遺産・農業文化遺産に関する協力・交流覚書を締結。 2015~2017年には発展途上国同士の「南南協力」として、重要農業文化遺産に関する国際研修や、「一帯一路」沿線諸国に対する農業文化遺産の管理と保護に関する研修を開催した。

 興化市は農業の総合的発展を推進している。春は菜の花、夏はハス、秋は菊、冬はチバナと季節ごとの花を植え、1万ムー(約666ヘクタール)の国家級輸出農産物品質安全モデル地区を設立。国内最大級の野菜加工・流通拠点となっている。

 2021年3月1日には泰州市垛田保護条例が施行され、専門家による環境保護チームを組織。これまでに興化垛田のうち500ムー(約333ヘクタール)の環境が整備され、今後も年間200ムー(約133ヘクタール)ずつ整備を続けていく。(c)People’s Daily/AFPBB News