中国で100万字近くの村誌をまとめた90歳の「生き字引」老人が抱く夢
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【12月15日 CNS】1979年に、村で最初の女性ドライバーになったのは章月芹(Zhang Yueqin)。
1981年に、村で最初の3階建ての家を建てたのは章高生(Zhang Gaosheng)。
1987年に、村で最初のカラーテレビーを買ったのは章仲苗(Zhang Zhongmiao)。
中国・浙江省(Zhejiang)紹興市(Shaoxing)諸曁市(Zhuji)東河郷(Donghe)姚紹畈村(Yaoshaofan)岩畈自然村(Yanfanziran)、この小さな山村に、なぜこのような詳細な情報が残っているのだろうか。
この村には90歳になる村の「生き字引」、章林橋(Zhang Linqiao)さんがいる。おしゃべりと記録が大好きな老人だ。70年以上にわたり、村の大小の出来事を記録し続け、これまでに100万字近くの村誌を書いてきた。
章さんの2階の寝室には、窓際のキャビネットに60冊以上のノートと、使用済みのペンの袋があり、日記、家族の情報、子供と孫の成長の記録、そして100万字近くの村誌が含まれている。
ノートを開くと、新聞の切り抜きや写真も貼り付けられている。村誌の内容について、章さんは「最初に自分の家族について書き、次に村の大小を記録し始めた」という。
1951年に岩畈村は土地改革を実施し、1995年には村全体でケーブルテレビの設置を開始し、2006年には村の道路が整備された。意外だったのは、章さんが「村の大きな出来事」をすべて覚えているということだ。
1955年から、章さんは村で会計士と教師として働いてきた。村での出来事を記録し続けることができたのは、仕事にも関係していたという。
章さんは、「村人が家電製品を修理してもらいたい場合、誰に頼めばいいか、その人の連絡先情報などを私に聞きにきた」と回想した。
1980年代頃、中国が改革開放にかじを切り、村は激変した。章さんのメモ帳には、「1982年に、村全体で最初の手回し電話を設置したのは章高生」「1988年に、村で最初の冷蔵庫を買ったのは章堯法(Zhang Yaofa)……」などと書かれている。
海外に行った人もいた。2020年に、出稼ぎのためにアフリカに行った村民もいれば、米国のニューヨーク大学(New York University)に留学に行った村民もいる。
「進歩的な出来事はどこにでもある!」と章さんは感慨深げに語る。章さんは「書き続けたい。将来的には必要とする政府部門に寄付し、専門家が利用できるようにしたい。いつか本にまとめて出版できたらなおいい」と夢を語る。(c)CNS/JCM/AFPBB News