【12月16日 Xinhua News】中国上海市のごみ処理施設が生ごみを餌として分解する虫を養殖し、肥料の原料などに加工して販売、資源循環利用の新たな方法として有望視されている。

 上海市の最東端、長江の河口近くにある同市最大のごみ処理施設、老港生態環境保護基地では毎日、船で運ばれてきた市内の生活ごみの半分以上が処理されている。上海は2019年の生活ごみ分別開始以降、分別処理能力が向上し続けている。同基地では1日当たり乾燥ごみを9千トン、生ごみを2500トン処理している。

 生ごみは基地内の「バイオエネルギー再利用センター」で処理される。生ごみを前処理した後、嫌気タンクで有機物を嫌気性発酵させる。その過程で発生したメタンガスは発電に利用される。このセンターの一角に、生ごみを餌にするアメリカミズアブの養殖施設が設けられている。

 同基地を運営する上海城投老港基地管理の馬聡(ば・そう)計画建設センター主任は「この虫は生ごみを食べる。食欲旺盛で成長が早く、資源化率が高い。虫そのものが優れたタンパク質であることから、飼料用としてよく売れる。ふん便も有機肥料のもととなり無駄にはならない」と紹介した。

 養殖場では縦7列、横3列に並べられた金属製の飼育箱が22段積まれてひとまとまりになっており、ふ化や給餌、運搬などのプロセスが全て機械化されている。卵の状態からわずか7日間で収穫に最適な大きさまで成長する。成長したアメリカミズアブを乾燥させ、粉末状にして出荷する。販売価格は魚粉と大豆ミールの中間ほどという。

 同処理場では、生ごみを生態学的に処理するだけでなく、廃棄物の資源化でより高い価値を生み出している。馬氏は「生ごみの一部は分別して生物の飼育に利用している。1日50トンを餌として与え、虫10トンと虫のふん12トンを産出できる」と語った。

 アメリカミズアブの養殖は現在試験段階にあり、規模はまだ大きくない。同基地は間もなく第3期生ごみ処理施設を着工する計画で、完成後の養殖規模は1日の給餌量500トンへと拡大する。

 上海城投老港基地管理の呉曰豊(ご・えつほう)副総経理によると、同基地は09年に生活ごみ焼却発電施設と付帯施設の建設を開始した。上海で排出される生活ごみは21年末までにゼロ埋め立てをほぼ実現している。

 上海緑化・都市管理局生活ごみ管理処の斉玉梅(せい・ぎょくばい)副処長は「上海は生活ごみの分別効果を引き続き高め、生活ごみ分野の資源循環利用システムをさらに深化させていく」と述べた。(c)Xinhua News/AFPBB News