【12月15日 Xinhua News】中国河南省(Henan)文物考古研究院はこのほど、同省南陽市(Nanyang)の黄山遺跡で仰韶(ぎょうしょう)文化中・後期の穀物倉庫群跡を発見したと発表した。これまでに基礎遺構16カ所の発掘を終えている。今回の発見は、6千年余り前の社会における交易の隆盛ぶりを示しており、仰韶時代の社会の複雑化と文明化のプロセスを探る上で重要な資料になる。

 発掘を終えた穀物倉庫の基礎遺構16カ所は円形または楕円(だえん)形で、基礎の外径は2・3~3メートル、内径は多くが約2メートル。いずれも壁の基礎と壁体、防湿層で構成されていた。

 同研究院の馬俊才(Ma Juncai)研究員によると、穀物倉庫は同時代の住居跡や玉石器工房跡の周囲に分布し、全体が統一的に配置されていた。形状や容量の似通った倉庫が密集しており、多くの食糧を貯蔵でき、明確な機能区分を備えていた。中には50平方メートルの範囲に五つの倉庫があるエリアもあり、密度は驚くべきものだった。

 黄山遺跡では、植物考古学者が大量のアワ、少量のイネとキビの種子を発見している。馬氏は「遺跡全体で雑草の種子があまり見られないことから、これらの食糧は農業生産によるものではなく、他の場所から供給されたか交易によってもたらされた可能性が高い」と説明。今回の発見により、玉石器製造を基礎とする同遺跡の交易の隆盛ぶりが示されたと語った。

 同遺跡は南陽市北東部の臥竜区蒲山鎮黄山村に位置し、玉石器の製造と取引を特徴とする地域の中心的集落だった。黄河流域の仰韶文化と長江流域の屈家嶺(くつかれい)文化、石家河文化は同地で融合したとされる。

 広大な面積と集落としての格の高さ、豊かな文化を持つ同遺跡からは、これまでに大規模な玉器工房や高位者の墓、ふ頭、穀物倉庫などの遺構が見つかっている。馬氏は「一連の発見は、南北文化が交流し、融合して発展する当時の社会の複雑化と文明化のプロセスを反映している。南陽盆地と江漢平原の文明の起源や文化の発展を探る鍵となる遺跡であり、中華文明を研究するための重要な遺跡でもある」との考えを示した。

 同研究院は2018年5月から、地元と合同で同遺跡の発掘調査を続けてきた。これまでの発掘面積は2700平方メートルに上り、遺跡の整理と研究作業は現在も続いている。(c)Xinhua News/AFPBB News