■アジア・中東も危機

 5大国以外で核兵器を保有しているのは、インドと北朝鮮、パキスタン。イスラエルは公式に認めたことはないが、保有していると考えられている。

 2003年にNPTを脱退した北朝鮮は今年、ミサイル実験を相次いで強行。先制攻撃を辞さない「核武力政策に関する法令」を9月に採択した。日米韓3か国の政府は、同国が近いうちに7回目の核実験を実施するのではないかとみている。

 アジアの非核保有国が懸念するのは、米国の「核の傘」による保護にほころびが生じる事態だ。

 カーネギー国際平和基金(Carnegie Endowment for International Peace)のイ・チョンミン(Chung Min Lee)研究員は「(米国の核の傘などの)拡大抑止を水風船に見立てると、致命的な穴が開き、水が染み出している」状態だと表現した。

 中国も核兵器の増強を続けており、米国防総省の分析によれば、保有する核弾頭数は10年以内に1000発に達し、米国にほぼ並ぶ。

 中東でも、2015年のイラン核合意の復活を目指す取り組みが難航しており、イランが核兵器開発の意思と能力を持つ「核敷居国」になるのではないかとの懸念が再燃している。

■核拡散に対する懸念

 ウクライナは、旧ソ連時代に配備されていた核兵器を進んで放棄し、ロシアに移転した。だが、核武装した同国に侵略され、核拡散の懸念を強めている。

 フランス海軍の核戦力部隊を率い、現在は仏シンクタンク国際関係研究所(IFRI)の戦略研究センターでアドバイザーを務めているジャンルイ・ロジエ(Jean-Louis Lozier)氏は、「日本や韓国のような国々が独自に核兵器を保有する是非を問うのは、今では妥当かもしれない」と述べ、「サウジアラビアやトルコ、エジプトなど中東でも同じことが言える」と続けた。(c)AFP/Cecile FEUILLATRE