【12月08日 KOREA WAVE】

産業成長の過渡期

10月13日、COEXで開かれた「メタバースフェスティバル&K-メタバースエキスポ2022」で企業関係者が1人VRゲームを実演している(c)NEWSIS
10月13日、COEXで開かれた「メタバースフェスティバル&K-メタバースエキスポ2022」で企業関係者が1人VRゲームを実演している(c)NEWSIS

◇韓国の代表的企業も進出本格化

グローバル市場調査会社も先を争ってメタバース産業のバラ色の未来を占っている。

国際的会計事務所「デロイト」は仮想資産、仮想現実(VR)・拡張現実(AR)・複合現実(MR)、ネットワーク、コンピューティングインフラを包括するグローバルメタバース市場が、2021年の1220億ドル(約16兆9702億円)から2025年には2448億~3928億ドル(約34兆516億~54兆6384億円)に成長すると見ている。ストラテジーアナリティクスもメタバース市場の2025年の売り上げは、2800億ドル(約38兆9480億円)に達すると予測した。

このため、サムスン電子だけでなくSK、LG、ロッテ、ネイバー、カカオなど韓国の代表企業もメタバース関連産業への進出を本格化させている。韓国政府もメタバース産業育成のため、初めてとなる総合対策を発表し、2026年までにグローバルメタバース市場での占有率を5位までに高めるとしている。

ただ、まだ産業初期の成長段階だ。フェイスブックがメタバース企業を夢見てメタに社名を変更して1年が過ぎたが、依然としてメタバースの定義も明確ではない。2006年に出たゲームプラットフォーム「ロブロックス」の場合、今になってメタバースとみなすのはおかしい、という指摘も出ている。「すでに存在したプラットフォームではないか」という反応があふれている。

<em>SKテレコムのメタバースプラットフォーム「イーフランド」(写真=SKテレコム提供)(c)NEWSIS</em>
<em>SKテレコムのメタバースプラットフォーム「イーフランド」(写真=SKテレコム提供)(c)NEWSIS</em>

◇あいまいな定義

従来のゲーム物との境界も曖昧だ。韓国の業界では「メタバースコンテンツは既存のゲームと類似した側面があるため、ゲームとして等級分類されなければならない」という主張と「メタバースプラットフォームにはゲームだけでなく、体験、教育など多様な目的のコンテンツがあるため、一般のゲームとは違いがある」という主張がぶつかっている。

これに対し、韓国政府が年内にメタバースをゲームと分離するという内容のガイドラインを発表すると予告し、メタバース産業の振興に対する期待が高まっている。

今年9月にスタートした国家データ政策委員会は、メタバース産業の発展のために用語定義、自主規制などを含む「メタバース特別法案」(科学技術情報通信省)、「メタバースコンテンツ振興法案」(文化体育観光省)の制定を支援することにした。

◇若い利用者に馴染み

このような過渡期的な状況でネイバー、SKテレコムは既存のソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を、アバターを基盤としたメタバースプラットフォームに広げようと試みている。アバター基盤のコミュニティサービスが、特に10~20代の若い利用者に馴染みがあるという点で、初期メタバースを体験するのに適しているためだ。

ネイバージェットがサービスする「ゼペット」は、世界の延べ利用者が3億4000万人に達する。ゼペット利用者の80%が青少年だ。SKテレコムが披露した「イーフレンド」は、仮想現実の中で公演や展示を開催することはもちろん、意思疎通と集いに特化したサービスで、20代を攻略している。

ロッテグループとモバイルゲーム会社「Com2uS(カムツス)」グループは、現実世界の姿をそのまま再現したうえ、情報を加える「ミラーワールド」の具体化に乗り出している。

(つづく)

(c)NEWSIS/KOREA WAVE/AFPBB News