【1月9日 AFP】ビールで有名なベルギーで、その副産物を利用した循環型のキノコ栽培ビジネスがブームを呼んでいる。

 首都ブリュッセルの企業エクロ(Eclo)は元食肉処理場を利用し、シイタケ、マイタケ、ヤマブシタケなど主にアジア原産のキノコ7種類を栽培。グルメな顧客をターゲットに、高級食材として1箱750グラム当たり約22ユーロ(約3100円)でネット通販している。

 種菌を植え付け育てる菌床の基材は、ベルギーでは容易に調達できる。ビール醸造の際に発生する麦芽の搾りかすだ。これに廃棄されたバゲットや乾燥したパンを混ぜ合わせる。

 エクロでは数年前からビールかすを国内のビールメーカーから、また売れ残りのパンをスーパーマーケットやベーカリーなどから入手している。

 この協力体制によってリサイクルされる量は年間でビールかす5トン、パン18トンに上る。こうして集められた基材を冷蔵室に入れ、湿度を管理し、それを菌床としてキノコを栽培する。キノコの週間販売量は8~10トンだ。

 エクロの共同創設者のクエンティン・デクラーク(Quentin Declerck)氏は、このビジネスで利潤を上げていること以上に、環境に優しい国産キノコをブリュッセルで生産できることが励みになっていると言う。

 新興マーケティング企業「Inoopa」の調査によると、ベルギーでサーキュラーエコノミー(循環型経済)に取り組む企業は2019年~21年に約30%増加した。

 だが、まだ道のりは遠い。6月にワロン(Wallonia)地域を対象に行われた調査では、企業の60%が循環型経済という概念について全く知識のないことが分かった。(c)AFP/Marie GENRIES