【12月7日 AFP】サッカーW杯カタール大会(2022 World Cup)の決勝トーナメント1回戦で、アジア代表の3チームはすべて敗退し、現実を突きつけられた。それでもカタールW杯はアジア勢にとって過去最高の大会であり、世界の強豪国との差が縮まっていることをうかがわせた。

 今大会のアジア勢は、全6チーム中オーストラリア、日本、韓国の3チームが決勝トーナメントに進出する史上初の快挙を達成した。サウジアラビアもグループステージでリオネル・メッシ(Lionel Messi)を擁するアルゼンチンから2-1の逆転勝ちを収め、大会最大の驚きをもたらした。

 日本もドイツとスペインという優勝経験国を逆転で沈めてグループEを首位通過した。前回準優勝のクロアチアとの決勝トーナメント1回戦はPK戦の末に惜しくも敗れたが、板倉滉(Ko Itakura)はその試合前、アジアが欧州に近づいているのを感じると話していた。8人がプレーするドイツ・ブンデスリーガなど、欧州の主要リーグで戦う日本代表の選手も増えている。

 森保一(Hajime Moriyasu)監督は、日本の成功はアジア全体のためになると考えており、「日本がW杯で勝つために、育成や指導者養成を含め、日本のサッカーが強くなる環境づくりをやってきた。同時に、日本サッカー協会(JFA)としては、アジア貢献すること、アジア全体のレベルを上げるということで、日本人の指導者をいろいろな国に派遣して、アジアの国々のレベルアップに貢献するということをやってきている」とコメント。アジア全体のレベルが上がらなければW杯で勝つのは難しいと続けた。

 オーストラリアも大会前の下馬評は低く、かつてのハリー・キューウェル(Harry Kewell)、ティム・ケーヒル(Tim Cahill)、マーク・ビドゥカ(Mark Viduka)のような質の高い選手が生まれなくなっているという懸念があった。それでもチームはチュニジア、さらには欧州選手権(UEFA Euro 2020)4強のデンマークを破って過去最高に並ぶベスト16入りを果たし、疑念が間違いだったことを証明した。決勝トーナメント1回戦のアルゼンチン戦は、1-2で敗れたが最後まで戦い、メッシを中心としたアルゼンチンを苦しめた。

 もっとも、今大会はアジア勢にとっていい知らせばかりだったわけではない。韓国はグループステージでポルトガルを下したが、決勝トーナメント1回戦では優勝候補の呼び声が高いブラジルに1-4で完敗し、目を覚まさせられた。

 アジア最高峰のチームは来年、再びカタールでアジアカップ(2023 AFC Asian Cup)を戦う。中国が新型コロナウイルスの影響で開催を返上したためだが、カタールは今大会でグループ3戦全敗、わずか1得点と開催国としては史上最低の成績に終わった。チームがアジアカップ連覇を目指すには、早急に改善を図る必要がある。(c)AFP/Peter STEBBINGS