【12月5日 AFP】ウクライナ東部の前線に続く道路沿いではこのところ、毎朝同じ光景が見られる。トラックに給油する兵士たちが、湯気の上がるコーヒーをすすり、出来たてのホットドッグを頬張りながら会話している。

 同国では、ガソリンスタンドや街角の小型売店など、あちこちでホットドッグが販売されている。値段は40〜70フリブナ(約150〜260円)だ。

 前線付近では、兵士にホットドッグを無料で提供するガソリンスタンドもある。長い列ができ、品切れになることも多い。

 東部ドンバス(Donbas)地方で戦う57歳の兵士は「妻はこれ(ホットドッグ)を食事ではないと言う」と笑った。「以前は手作りの料理を食べていたが…今はこうしてホットドッグを食べている。妻は知らないが」と話した。

 食生活が一変したのはこの兵士だけではない。今年2月にロシアによるウクライナ侵攻が始まると、何万人もの市民が武器を手に応戦に乗り出し、同様の状況に置かれている。

 東部クラマトルスク(Kramatorsk)の警察官は「ボルシチを食べたいが、時間もないし、ちゃんとしたボルシチを作ってくれる人もいない」とこぼした。「普段は何でも手に入る物を食べる。ここではえり好みはしていられない」とし、ホットドッグが大抵「一番手っ取り早い」選択肢だと語った。

 クラマトルスクにあるガソリンスタンドの店長は、「ホットドッグが一番人気で、右に出る物はない」と話した。兵士や警察官らが買い求め、1日に50個のホットドッグが売れるという。

 ある兵士は、毎朝食べるホットドッグについてこう語った。「ここにきて時間を過ごすと、気分が良くなる。コーヒーを飲んでホットドッグを食べている間は、また家に帰った時のような気持ちになれる」 (c)AFP/David STOUT