【12月9日 People’s Daily】ツァイダム盆地の北西部に位置する青海省(Qinghai)海西モンゴル族チベット族自治州(Haixi Mongolian and Tibetan Autonomous Prefecture)茫崖市(Mangya)冷湖鎮(Lenghu)は、「最も火星に似た場所」として知られている。

 2021年8月18日、中国の科学者が世界トップレベルの天文台に匹敵する天文観測候補地、「冷湖天文観測基地」を発見したという、学界に衝撃を与えた論文が「ネイチャー(Nature)」誌に掲載された。現在では、世界一流の天文観測基地の建設に向かって大きく前進している。

 1950年代、冷湖は石油資源で栄えたが、資源の枯渇とともに、住民は少なく、乾燥帯のへき地の小さな町は静まりかえった。

 2017年、中国科学院(CAS)の天文学専門家の鄧李才(Deng Licai)氏は、光学望遠鏡プロジェクトの立地選定に悩んでいたところ、冷湖科技革新産業園区管理委員会党指導グループの田才譲(Tian Cairang)副書記に声をかけられ、冷湖に現地調査に行ってみる決心をした。2018年1月、鄧氏はチームを率い、田副書記とともに冷湖の賽什騰山で現地モニタリングを開始した。驚くべきことに、彼らは、冷湖の天文台所在地のエリアは年間300日まで観測可能で、沈降する水蒸気柱も他の地域の大型光学天文台よりはるかに優れていることに気づいた。

 困難な探索を経て、「冷湖の経度地域は、世界の大型光学望遠鏡の空白地帯だ。天文観測には長期観測が必要な場合が多いので、冷湖天文観測基地の建設により、ここは国際的な光学天文研究の重要拠点となり、宇宙の神秘を探り、独自の科学成果を育成するための重要な発信地となるだろう」と、鄧氏は誇らしげに語った。

 中国科学院国立天文台(NAOS)懐柔太陽観測基地の鄧元勇(Deng Yuanyong)主任は、「冷湖天文観測基地は4400メートル、4000メートル、3800メートルの3つの標高に分かれて建設されている」と紹介した。

 昨年末、中国科学院国家天文台、青海省科学技術庁、青海省海西州政府は、「青海冷湖天文観測基地の共同建設に関する協力協定」に署名した。各者は、冷湖で世界一流の天文観測基地を共同建設することになった。これまで、同基地には、計9つの光学天体望遠鏡プロジェクトが実施され、その投資総額は20億元近くに達した。

 支援策も次々と導入されている。「海西モンゴル族チベット族自治州冷湖天文観測環境の保全に関する条例」が2023年1月1日に施行される計画だ。天文観測設備を守り、科学者たちが見たいものを見られるよう、やみ夜保護核心区域内では、光源の種類と明るさを厳格に制御し、すべての屋外固定夜間照明施設の照明方向を水平線より30度下方にし、やみ夜保護緩衝区域では、その照明方向を水平線に制御することを規定している。(c)People’s Daily/AFPBB News