【12月8日 People’s Daily】「文字の都」と呼ばれる河南省(Henan)安陽市(Anyang)は、世界文化遺産「殷墟(古代中国殷王朝後期の首都の遺構)」の所在地、世界の記憶の甲骨文字の出土地として、新たな形で甲骨文字文化を継承・発展させており、古代文字が中国の大地で蘇り生き生きとした物語を記している。

 安陽市は、中国文明のルーツを保護し、優れた中国伝統文化を広める道を進んできた。中国文字博物館の「甲骨学堂」では、1500回以上の文字文化の教育活動を行い、4万5000世帯以上が参加した。同市には17の省レベル、37の市レベルの甲骨文字教育の特色の学校があり、子供たちは幼い頃から甲骨文字教育の薫陶(くんとう)を受けてきた。甲骨文字は、さまざまな形で安陽の人々の生活に溶け込み、より多くの一般民衆に甲骨文字を理解させ、読めるようにし、愛するようにしている。

 考古学を一般市民に浸透させ、産業を生活の中に溶け込ませる。これは、この貴重な文化財の保護と活用を模索してきた特色ある安陽ならではの道だ。

 文化観光産業はその発展を蓄積させ、一気に花開いた。近年、安陽市は文化・観光の統合を精力的に推進し、中国文明の普及の影響力を高めている。安陽市文化観光発展グループは、殷墟景勝区の全面運営を担っている。同グループが投資・建設した広益佰年文化観光考古町は、世界レベルの考古学・文化体験地として建設されている。殷墟国家考古遺跡公園の建設も加速しており、世界一流の中国文化のランドマーク、精神的な道標として建設を進める計画だ。

 デジタル技術との深い統合も進めてきた。デジタル時代のチャンスをとらえ、安陽市は、中国文字博物館の「玩転漢字(漢字で遊ぼう)」プロジェクトと、殷墟景勝区のデジタル展示改善プロジェクトなどを積極的に推進し、「科学技術+体験」を通じて、デジタル化による甲骨文字の活性化の新たな応用シーンをつくり出した。「われわれが関連部署と共同で開発した3種類の3Dデジタルコレクションの各種1万点は5秒で完売した」と、安陽殷墟景勝区管理会社の申威威(Shen Weiwei)社長は語った。

 文化クリエーティブの分野の開発が盛り上がりを見せている。安陽市は、文化観光・文化クリエーティブ融合研究院を設立し、文化クリエーティブ大会や「安陽ギフト」ベスト10選定などの活動を続け、甲骨文字のスタンプ、ブラインドボックス、アイスクリームなど一連の文化クリエーティブ商品が人気を博している。また、甲骨文字をテーマにした大型歌舞劇や、WEB映画などの芸術的な傑作の登場が相次いでいる。

「われわれは文化観光、文化クリエーティブの一体的な発展を促すことにより、博物館の甲骨文字や青銅器に命を吹き込み、文化・観光資源を活用したい」と、安陽市文化広電体育観光局の薛文明(Xue Wenming)局長は述べた。(c)People’s Daily/AFPBB News