【12月6日 Xinhua News】中国の量子通信設備開発企業、科大国盾量子技術(科大国盾、安徽省合肥市)は、中国科学技術大学の研究成果実用化プラットフォームとして設立され、国内で最も早い時期から量子情報技術の産業化を模索してきた。同社が同市蜀山区雲飛路に設立されたのは2009年。今では、量子技術企業が集まることから「クアンタムストリート(量子大街)」と呼ばれる雲飛路をけん引する企業となっている。

 同市では今年8月、次世代暗号通信技術「量子暗号通信」を採用した都市内量子ネットワークが開通。中国で最大のカバー範囲と応用環境を持つ都市内量子ネットワークとなっている。

 同じくクアンタムストリートに位置する合肥本源量子計算科技では、独自に開設した二つの実験室「量子チップ製造・パッケージング実験室」「量子コンピューティング組立試験実験室」が1月に稼働を開始した。

 量子精密測定技術では、国儀量子(合肥)技術が開発した精密測定機器「量子ダイヤモンドシリーズ」や国内初の商用電子常磁性共鳴(EPR)スペクトルメーターなども、すでに多くの業界で活用されている。同社の賀羽(が・う)最高経営責任者(CEO)は「製品は清華大学や南方科技大学、上海第九人民医院など数百の顧客のほか、米国やドイツ、オーストラリアへも納品している」と語った。

 中国の量子技術産業で独自の特徴を持つこれらの企業は、実験室からクアンタムストリートへの進出を経て、今また産業化の急速な進展に伴い、クアンタムストリートの外へと再度の飛躍を図っている。

 科大国盾は、新たに建設された総面積約3万平方メートルの科学技術パークに進出。パーク内に取得した約4千平方メートルの生産基地において、現在の量子情報業界で最高の精度を持つ全自動化表面実装(SMT)生産ラインや光電モジュールの組立試験ライン、完成品組立試験ラインなどの建設に着手している。

 9月に設立された量子技術産学研(企業・大学・研究機関)イノベーション連盟も、中国の量子技術産業化が新たな段階に入ったことを示している。科大国盾の趙勇(ちょう・ゆう)副董事長は、今後の中国量子産業の方向性を「集積、統合再編、協調」の3語に集約。同連盟もこれを主要な任務にすると表明した。

 一つの企業から一つの通りへ、1社単独開発から産業連携へ、一つ一つの成熟した産業パークは現在、川上から川下に至る企業の集積と発展をけん引している。量子技術産業のリーディングカンパニーにとって、中国の「クアンタム(量子)バレー」は今まさに形成過程にある。(c)Xinhua News/AFPBB News