【12月02日 KOREA WAVE】

 コラム 

MONEYTODAYエディター キム・ゴグムピョン

横6メートル、縦40メートルに達する長方形LEDが空中にぶら下がる(写真提供=Insight Entertainment)(c)MONEYTODAY
横6メートル、縦40メートルに達する長方形LEDが空中にぶら下がる(写真提供=Insight Entertainment)(c)MONEYTODAY

年を取るほどに、強いロック音楽から、柔らかいアコースティックステージに切り替える――チョー・ヨンピルは、こんなありふれた歌手の「手垢のついた変化」に関心がない。

この日のコンサートでも、彼はレッド・ツェッペリンやAC/DCのように「ロクセンロクサ」(ロックに生きてロックに死ぬ)の気概を保ち、耳を突くようなロックサウンドに集中した。時には、リードギターのチェ・ヒソン、ベースのイ・テユンと並んで立ちプレーを共有するという、1980年代の伝統的なアクションも躊躇なくこなした。

ただ、この日初めて披露した新曲「セレンゲティのように」と「刹那」では、強烈なロックより、最近流行のリズムとシンセポップを混ぜ、より大衆的なアプローチを試みた。特に「刹那」では、声を機械音に変えるボコーダーを取り入れ、斬新なイメージをアピールした。

コンサートの前半、チョー・ヨンピルはこんなことを言った。

「たぶん、ここにいらっしゃった多くの方々が『あの歳(72)でちゃんと歌えるのか?』『ゲストを呼ばず、1人でやるって?』。こんなことを考えましたよね?」

的を射たコメントだった。チョー・ヨンピルと20年間、つき合ってきた筆者にも内心、同じ不安があった。10年前のインタビューで、彼は「うまく歌えなくなった日、その時がまさに引退する日」と語っていた。その言葉を思い出した。

「キロマンジャロのヒョウ」の前奏が始まると、観客は息を殺して耳を傾けた。「中間のセリフをちゃんと言えるだろうか」。多くが不安半分、期待半分だったと思う。結果、正確な発音で、歌詞がこだました。彼が「21世紀が切実に、私に期待したからだ」と叫ぶと、客席が一斉にスタンディングに変わり、拍手が巻き起こった。

歌王がすべてを注ぎ込んだ2時間のステージだった。

2年後、すべてを整えて、再び、今日のようにステージに現れるだろう。変わることがあるとすれば、新たなヒット曲と、より華やかになったステージ、そして「古く、老いた」こととの決別ではないだろうか。

(c)MONEYTODAY/KOREA WAVE/AFPBB News