バフムートの「肉ひき機」 恐怖の激戦地を駆ける救急隊員たち
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【12月3日 AFP】ロシア軍がウクライナ侵攻を開始すると、パリチさん(仮名・35歳)は、今後の戦闘により多くの負傷者が出て、救急隊員としての自身の経験が必要とされるだろうと考えた。「傍観しているわけにはいかないので、ボランティアとして前線に向かった」
パリチさんのチームは毎日、ウクライナ東部バフムート(Bakhmut)の前線周辺で負傷者を集め、わずか数キロ離れた中央病院に搬送している。
この日は、脳を損傷し脚を骨折した負傷兵をバフムートからチャシウヤール(Chasiv Yar)の医療センターまで搬送した。パリチさんは同行したAFP記者に「常に怖い」と吐露。「リラックスできることは全くない。私たちは毎回恐怖を感じている」と語った。
かつてはブドウ畑と岩塩坑の都市として知られていたバフムートは、半年間にわたる塹壕(ざんごう)戦や砲撃の応酬、正面攻撃を伴う激戦により、「肉ひき機」と呼ばれるようになった。
同市を攻撃しているロシア部隊は、傭兵(ようへい)や刑務所からの徴集兵、新たに動員された兵士で構成されているとみられる。ウクライナ兵の多くは市内とその周辺で、容赦ない砲撃にさらされる泥まみれの塹壕などで抗戦を続けている。
軍事コンサルティング会社ディフェンス・エクスプレス(Defense Express)の軍事アナリスト、セルヒー・ズグレツ(Sergiy Zgurets)氏は、「(双方が)特別な技術的手段なしに戦う標準的な戦術を取っていることから、この戦闘は第2次世界大戦(World War II)と比較できる」と分析している。