【12月1日 AFP】インドネシア・北スマトラ(North Sumatra)州の裁判所は11月30日、世界的な大手企業にパーム油を供給する農園で強制労働をさせるため、人身売買で連れてこられた労働者2人を拷問し殺害したとして、インドネシア人4人に禁錮1年7月を言い渡した。

 被害者2人は、地元政治家の住宅の敷地内に設置された二つのおりに入っている状態で発見された。けがが原因で死亡した。

 被告の一人である地元政治家の息子については、遺族に2億6500万ルピア(約230万円)の支払いも命じられた。

 人権保護団体によると、パーム油や漁業などインドネシアの主要産業では、強制労働や労働者の搾取が横行している。

 事件があった農園を運営していたのは、デワ・レンチャナ・ペランギン・アンギン(Dewa Rencana Perangin Angin)。環境調査団体ゲッコー・プロジェクト(Gecko Project)によると、農園のパーム油は食品大手ネスレ(Nestle)や食品・家庭用品大手ユニリーバ(Unilever)など、世界的企業に供給されていた。

 事件を受け、ユニリーバは同農園との取引を中止した。一方、ネスレは調査中だとしている。

 インドネシアの人権委員会が3月にまとめた報告書によると、警察が1月に別件で家宅捜査を行った際に、二つのおりを発見した。おりには57人が収容されており、その大半が薬物を使用している貧困層の男性だった。

 おりが発見された場所は以前、非合法な薬物リハビリ施設として使用されていたという。(c)AFP