【12月1日 AFP】中国で江沢民(Jiang Zemin)元国家主席の死去を受け、今よりも自由だった江政権時代を懐かしみ、同氏を「カエルの王」とたたえる投稿がSNSに相次いだ。

 国営中国中央テレビ(CCTV)が微博(ウェイボー、Weibo)で江氏の死去を報じた投稿には1時間足らずで50万以上のコメントが寄せられ、多くのユーザーが親しみを込めて「江おじいちゃん」と呼んだ。

 江氏への評価は割れている。公の場で見せるユーモアのある一面は、それまでの堅苦しい共産党指導者のイメージに新風を吹き込んだと歓迎される一方、汚職の横行や格差拡大、政治活動家の弾圧を許したと批判する声もある。

 引退後は、カエルに似た江氏を尊敬する「膜蛤文化(カエル崇拝)」という言葉も生まれ、 中国のミレニアル世代やZ世代の間でたびたびネタにされるようになった。

 江氏の死に乗じて、新型コロナウイルス感染拡大を徹底的に封じ込める「ゼロコロナ」政策を取る習近平(Xi Jinping)国家主席を間接的に批判する人もいる。

 ある微博ユーザーは「江沢民時代は最も繁栄していたわけではないが、今よりも寛容だった」と投稿。「多くの批判を耳にしたが、批判的な声を許していたという事実が、江氏が称賛に値する人物だということを示している」と述べている。

 カエル崇拝者の一人は微博に「カエルの王よ、安らかに眠れ」と投稿した。

 また、「カエルよ、くまのプーさん(Winnie-the-Pooh)もあの世に連れて行ってくれないか」と投稿するユーザーもいた。習氏は以前からくまのプーさんに似ているとやゆされており、プーさんに関するネット上の書き込みは検閲対象になっている。

 こうした投稿の多くは数分以内に削除され、微博で「江沢民」と検索しても、国営メディアのアカウントしか表示されなくなっている。(c)AFP