【11月30日 AFP】米ニューヨーク市のエリック・アダムズ(Eric Adams)市長は29日、通りや地下鉄で暮らす精神疾患のあるホームレスを強制的に入院させる方針を明らかにした。市長が進める犯罪撲滅対策の一環。

 元警察官のアダムズ氏は「重度の精神疾患が原因で、家を失い、自らを危険な状況に置いている人がいるならば、必要な治療とケアを受けられるよう支援する道徳的な責任がわれわれにはある」と説明した。

 精神疾患があると診断されたホームレスについて、警察や医師、ソーシャルワーカーが介入し、必要に応じて強制的に入院させることを認める法案が、来年審議される予定。

 アダムズ氏は「その人物が暴力を振るったり、自殺願望があったり、他者に危害を加えたりといったリスクがない限り、強制的な支援はできないという、よくある勘違いが根強く残っている」と指摘。「このような通説はなくさなければならない」と訴えた。

 アダムズ氏は今年1月の就任直後、地下鉄に多数のホームレスが暮らす問題を解決すると約束していた。

 以前には、アジア系米国人女性が、精神疾患のあるホームレスの男にホームから突き落とされ、電車と衝突して死亡する事件が起きている。この男のことは警察や病院関係者に知られていたという。

 ニューヨーク市には推定約5万人のホームレスが暮らしている。(c)AFP