【12月1日 Xinhua News】中国四川省(Sichuan)成都市(Chengdu)で11月26日、第4回世界科学技術・発展フォーラムの生体材料科学・工程先端サブフォーラムが開かれ、四川大学国家生物医学材料工程技術研究センター主任で中国生物材料学会副理事長の王雲兵(Wang Yunbing)氏が、先天性心疾患の患者に新たな治療法を提供する「MemoSorb全生分解性オクルーダーシステム」を紹介した。

 硬貨ほどの大きさで紫色をした二重円盤構造の全生分解性オクルーダー(閉鎖栓)を、低侵襲インターベンションによって患者の心臓の欠損部に留置すると、徐々に分解されて体内の組織に安全に吸収され、欠損部の組織の修復と再生を誘導し、患者に再び健康な心臓を提供できる。

 オクルーダーの生分解性は、先天性心疾患のインターベンション治療発展における新たな流れとなっている。先天性心疾患の手術で従来使用されていたオクルーダーは金属製で、体内に留置されると永久的に残るため、房室ブロックなどさまざまな術後合併症を引き起こす可能性があった。

 王氏のチームが中国の企業、病院と共同で10年近くかけて開発した「MemoSorb全生分解性オクルーダーシステム」は、金属製の素材から生分解可能な素材へと創造的な飛躍を遂げ、今年2月に国家薬品監督管理局の販売認可を取得した。

 同システムの開発と販売は、組織誘導性生体材料理論の循環器分野への新たな応用であり、非生物の生体材料が幹細胞や成長因子を加えることなく、心臓の欠損部位の組織を修復、再生するよう誘導できることを実証した。現在、誘導性組織再生生体材料を中心とした新世代の生体材料が、発展の方向性と最前線になっている。

 中国は、誘導性組織再生生体材料の面で多くの進展を遂げている。中国工程院院士(アカデミー会員)で四川大学教授の張興棟(Zhang Xingdong)氏が示した「組織誘導性生体材料」という破壊的な概念は、新たな定義として加えられ、生体材料開発に新たな道を開いた。張氏率いる研究チームが開発した骨誘導性人工骨は、世界初の合成骨修復製品で、これまでに数十万例以上の臨床応用を行い、良好な結果を得た。また、誘導性組織再生の理論は、靱帯や中枢神経の再生への応用にも成功している。(c)Xinhua News/AFPBB News