【11月30日 AFP】ボクシングの元レフェリーであるカルロス・パディーラ(Carlos Padilla)氏が29日、20年以上前の試合で不正を行い、フィリピンの同胞マニー・パッキャオ(Manny Pacquiao)が勝利する手助けをしたと明かした。

 パッキャオは21歳の新星だった2000年、フィリピンの首都マニラ近郊でネダル・フセイン(Nedal "Skinny" Hussein、オーストラリア)とのWBCインターナショナル・スーパーバンタム級のタイトルマッチに臨み、10回TKO勝ちを収めた。

 しかし、1975年のモハメド・アリ(Muhammad Ali)対ジョー・フレージャー(Joe Frazier)戦を裁いたことでも有名なパディーラ氏は、パッキャオが4回にダウンを喫して意識がもうろうとなった際、通常よりも10カウントを「引き延ばして」その勝利を手助けしたと明かした。

 数年前にネバダボクシング殿堂(Nevada Boxing Hall of Fame)入りを果たしたパディーラ氏はインタビューで「私はフィリピン人で、あの試合を見ているのは全員フィリピン人だった。だからカウントを引き延ばした。どうやればいいかは分かっている」と話し、「立ち上がった彼に、『おい、大丈夫か』と聞いたんだ。そうやってファイトを引き延ばした」と言って笑った。

 パッキャオはその後にバッティングをし、フセインは左目の上を切った。しかし、パディーラ氏がそれを「パンチ」と認めたことで試合は続行され、最後はフセインの出血を理由にドクターが試合を止め、パッキャオがTKO勝ちを収めた。

 パディーラ氏は、「私はパンチと宣言したが、そういうこと(バッティング)だった」と話し、「レフェリーとして、あれがベストのやり方だった。ドクターに止めさせるのがね。しかし、私が間違っていたのは周知の事実だ」と続けた。

 この件について、AFPはパッキャオにコメントを求めたが、回答はなかった。

 8階級を制覇したパッキャオは、昨年に現役を引退して大統領選に出馬したが、敗北した。12月には韓国の格闘技ユーチューバーと対戦する予定で、本人は「リングへの復帰戦」だと話している。(c)AFP