【11月29日 AFP】香港の大学と商業地区で28日、新型コロナウイルス感染拡大を徹底的に封じ込める中国の「ゼロコロナ」政策に対する本土での抗議デモに連帯を示す、異例の抗議が行われた。

 香港では、2020年の国家安全維持法(国安法)の導入以降、政治批判や大規模集会は抑え込まれている。新型コロナの感染拡大以降は、公共の場での集会が禁止されている。

 しかし、香港中文大学(Chinese University of Hong Kong)では学生が構内に集まり、広東語と北京語で「目をそらすな。忘れるな。私たちは外国軍ではない。中国の若者だ」とシュプレヒコールを上げた。

 一部の集団はさらに、10月の共産党大会の直前に北京の高架橋に掛けられた党の政策を批判する横断幕に倣い、「私たちが求めるのは自由だ、核酸検査(PCR検査)ではない。私たちは市民だ、奴隷ではない」と書かれたメッセージを掲げた。

 参加者の大半が、本土のデモ参加者が掲げている、抗議の意思を示す白紙を手にしていた。

 本土のデモのきっかけとなった、新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)の区都ウルムチ(Urumqi)での火災の犠牲者の追悼も行われた。学生らは火災が起きた今月24日にちなみ、「1124」という数字をろうそくの明かりで描いた。

 ウルムチの火災ではロックダウン(都市封鎖)のため救助活動が遅れて死者が出たとして、政府への怒りが広がっている。

 香港の主要な商業地区では、警告を無視して白紙を持って無言の抗議行動を続けていた少人数のグループが警察に拘束され、名前を書き留められていたことが、ネットで拡散された動画で明らかになった。

 参加者の一人は「ウルムチでの火災の犠牲者を悼み、本土で抗議行動に参加した学生や市民を応援したい」と話した。(c)AFP