【11月28日 AFP】中国で、新型コロナウイルス感染拡大を封じ込める「ゼロコロナ」政策への抗議デモが広がっている。発端となったのは、新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)での火災だ。

 ウイグル人のアブドルハフィズ・マイマイティミンさん(27)は、おばと4~13歳のいとこ4人が犠牲になったことを人づてに知り、がくぜんとなった。

 マイマイティミンさんは、スイスで亡命生活を送っている。チューリヒの自宅でAFPに、「手足が震え、めまいがし、吐きそうになった。理解できなかった」と語った。

 24日夜に新疆ウイグル自治区の区都ウルムチ(Urumqi)で起きたマンション火災では、10人が死亡、9人が負傷した。自治区では3か月間にわたって広域にロックダウン(都市封鎖)が敷かれており、これが救助活動の妨げとなったとの非難が噴出。ウルムチで始まった抗議デモは、中国各地の主要都市に波及した。

 自治区内では治安当局の弾圧により、推定100万人のウイグル人が恣意(しい)的な理由で刑務所や収容施設に拘束されている。外国在住の親族と話しただけで拘束される事例も相次いでいる。マイマイティミンさんは2017年5月を最後に、おばと連絡が取れなくなっていた。

「おばは主婦で、子どもの世話と教育に明け暮れていた」と、涙ながらに語った。「5年後にこんな形で消息を聞くことになるなんて、思いもしなかった」

■鎮火まで3時間

 中国内外のソーシャルメディアでは25日以降、ウルムチでの長期にわたるロックダウンのせいで救助活動が遅れたと主張する投稿が拡散されている。マンションの敷地外に駐車された消防車からの放水が燃え盛る窓に届いていない様子や、建物内に閉じ込められた住民が死に際に叫ぶ声を捉えた動画もある。

 国営メディアは、火が消し止められるまで3時間かかったと伝えた。

 市当局はその後、マンション周辺は感染リスクが比較的低いとされる地域で、住民は自由に外出できたと主張したものの、他の車両や車止めによって消防車の進入が妨害されたことは認めた。

 市消防局長は25日、「一部の住民は、助かろうとする能力が低かった。効果的な消火活動を行わず、助かるうちに逃げようともしなかった」と述べた。

 ただ、目撃者やソーシャルメディアの利用者からは、マンションの入り口に鍵がかかっていたとの指摘がある。

 マイマイティミンさんは拡散された画像の中から、マンション住民間のチャットで「1901号室住民と連絡が取れない。ドアが開けられないようだ。誰かこじ開けられないか? 子どもたちが中にいるんだ」と、火災当日は不在で難を逃れたいとこが訴えかける投稿を見つけた。