【11月28日 Xinhua News】中国海南省(Hainan)万寧市(Wanning)の興隆鎮出身で「80後」(1980年代生まれ)の曽威懋(Zeng Weimao)さんは、帰郷してコーヒー農園の経営を始めて10年近くになる。

 興隆は北緯18度に位置し、土壌はセレンが豊富で、コーヒー栽培に適している。1950年代に東南アジアから帰国した華僑がコーヒーの栽培技術や製法と共にコーヒーを飲む習慣を持ち帰った。小さな町だがコーヒー店が200店以上あり、1人当たりの年間コーヒー消費量は200杯を超える。

 曽さんと父親の曽祥崢(Zeng Xiangzheng)さんは共にコーヒー愛好家で、地元の興隆コーヒーを世界に広めたいという共通の願いがあった。2010年、祥崢さんは長年営んだ花畑を整地して、コーヒーの木を植えた。

 コーヒー栽培が軌道に乗り始めた13年、曽さんは海口市(Haikou)での安定した仕事を辞めて帰郷。コーヒー農園の経営を始めるとともに、苦みが強く濃厚な興隆コーヒーをより多くの人に好まれるような風味に変えようと製法の改善にも取り組んだ。コーヒー農園に観光客を呼んで、豆の手摘みや焙煎、試飲などを体験してもらうツアーも企画。ツアーでは興隆コーヒーの70年以上にわたる発展の歴史も紹介する。

 出稼ぎの若者を故郷に呼び戻すため、農園で独自のバリスタ養成システムを確立し、雇用の受け皿も確保した。これまでに数十人分の雇用を創出したほか、約50戸のコーヒー農家とコーヒー豆を固定価格で買い取る契約も結んでいる。

 興隆では今年7月、タイのチャロン・ポカパン(CP)グループがコーヒー産業パークを開業し、産業チェーンの確立に乗り出した。統計によると、21年末時点で万寧市のコーヒー栽培面積は4611ムー(約307ヘクタール)、総生産量は401・5トンに上る。(c)Xinhua News/AFPBB News