【11月25日 AFP】サッカーW杯カタール大会(2022 World Cup)で25日、イランとウェールズの試合前、イラン代表が国歌を斉唱した。同代表は、大会初戦となるイングランド戦の前には国歌を歌わなかった。

 イラン代表は、21日の対戦前には無表情で起立したまま国歌を斉唱せず、イラン国内で続く反政府デモへの連帯を示したものとみられていた。

 AFPのカメラマンは25日、スタジアムで、イラン抗議デモで叫ばれているスローガン「女性、命、自由」と記された旗を警備員が没収するのを目撃した。イランの国歌斉唱時には、一部のファンが涙を流していた。

 イラン代表のFWメフディ・タレミ(Mehdi Taremi)は24日の記者会見で、初戦で国歌を斉唱しなかったことによる母国政府からの「圧力」を否定。「政治問題については話したくないが、われわれは何の圧力も受けていない」と強調していた。

 イランでは、マフサ・アミニ(Mahsa Amini)さん(22)が服装規定違反の疑いで道徳警察に逮捕された3日後の9月16日に死亡した問題をきっかけに、抗議デモが全土で2か月にわたり続いている。

 ノルウェー・オスロに拠点を置く人権団体イラン・ヒューマン・ライツ(IHR)によれば、当局によるデモ弾圧で400人以上が死亡している。(c)AFP