【11月27日 Xinhua News】中国湖南省(Hunan)文物考古研究院はこのほど、発掘チームが7~11月に同省永州市(Yongzhou)藍山県(Lanshan)塔峰鎮五里坪村の五里坪古墓群で新たに古墓43基の緊急発掘調査を実施し、土器や陶器、銅器、鉄器、銀器などの遺物270点(組)余りが出土したと発表した。墓の内訳は磚室墓(せんしつぼ、れんがで築いた墓)が13基、土坑墓が30基だった。

 同研究院藍山五里坪考古プロジェクトの責任者、陳斌(Chen Bin)氏によると、五里坪古墓群は漢から晋にかけての墓を中心とする大型古墓群で、2012~21年に実施された緊急発掘で古墓527基が発見された。年代は前漢初期から宋代にわたる。今回の発掘調査の最大の成果は、新たに戦国時代後期の墓6基が見つかったことで、藍山県で同時期の楚墓(春秋戦国時代の楚国の人の墓)が発見されたのは初めてだという。

 6基の墓は五里坪村の低い丘の上で発見された。東西または南北の方向に向いており、全てが長方形の竪穴土坑墓だった。土器や銅器、鉄器、滑石器、漆器などが出土し、うち土器は軟陶と呼ばれる低火度で焼かれたものが多く、銅器には戈(か)や矛、剣、鏡などが含まれていた。

 陳氏によると、6基は全て小型墓で、副葬品の等級も低いことから平民の墓とみられるが、葬具には明らかな楚墓の特徴が見られた。副葬品には楚式の陶器のほか、米字文陶罐(とうかん)や陶壷など越文化(江南文化)の特徴が顕著なものもあった。

 陳氏は「藍山五里坪墓群で戦国時代の楚墓が発見されたことは、戦国後期に楚人の勢力が嶺南(れいなん、中国南部の南嶺山脈以南)北側の湘江上流域に進出していたことを示す」と指摘。これらの墓は楚人の南下や楚文化と越文化の交流を研究する上で重要な考古学資料になると語った。(c)Xinhua News/AFPBB News