【11月26日 CNS】中国の主要都市で、広場や大通り、駐車場などを使った「トランクマーケット」が流行している。夕方以降、若者たちが自家用車のトランクスペースを使い、日用品や飲食物を販売している。

 上海市、広州市(Guangzhou)、寧波市(Ningbo)をはじめとした東部の沿岸都市から、西安市(Xi’an)、南寧市(Nanning)などの中西部の都市、さらには西部国境に位置する新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)のタリム盆地にも、トランクマーケットは広がっている。

「カーブートセール(Car Boot Sale)」は欧米が発祥で、車の所有者が衣服、靴、日用雑貨、書籍、CD、家具などをフリーマーケット形式で販売する。欧米では農村文化の一部となっているが、中国では都市部のナイトマーケットとして広がっている。参加者のほとんどは20歳から40歳までの若い世代。日用雑貨以外に軽食やコーヒー、カクテル、手作りの工芸品、装飾品、花束などさまざまな商品を販売している。特に新型コロナウイルス感染症が拡大して以降、多くの若者が副業としてトランクマーケットに参加している。

 一般的な露店と比べ、トランクマーケットは店の雰囲気作りにこだわりを持つ。カラフルなライト、車への装飾、店名を書いた看板は、ほぼ「標準配置」。店の名前も「ダメ女のアイスゼリー屋台」「やけくそ酒場」「トラベルコーヒー」などと個性的だ。

 トランクマーケットをする人たちは「小紅書(Red)」や「抖音(Douyin)」などのSNSを通じてPRするのを好む。小紅書のデータによると、今年1~9月に「出店」というワードを含んだ投稿は前年同期より288%増加した。

 中国社会科学院(CASS)評価研究院の荆林波(Jing Linbo)院長は「トランクマーケットは新しい消費シーンになっている」と述べる。コロナ禍において分断されがちな市民間の社会的距離を縮め、経済回復への効果だけでなく文化的な役割も担っている。

「私たちが伝えたいのは、若者も人生に対する前向きな姿勢を持っているということです」。そう語るのは、重慶市(Chongqing)のトランクマーケット「小熊市場」の責任者、小熊(Xiao Xiong)氏。最初にこの夜市が始まった時、出展者の大半は家計の補助が目的だったが、今では新たな友人をつくり、人生について話し合う場所として機能している。「今や700人以上が出展し、いろんな人の趣向に出会って喜びを見つけています」。

 陝西省(Shaanxi)の国営企業で働く許研(Xu Yan)さんは小さなコーヒー店を営む。「仕事を終えた後、コーヒーを手作りしていろんな人と出会う。この車の中には夢が詰まっている。お金は重要じゃない。幸せが一番です」。

 四川外国語大学(Sichuan International Studies University)国際法学・社会学院社会学教育研究室の鄭昊(Zheng Hao)主任は「市場に行くことは中国の古くからの習慣だが、トランクマーケットは新しいタイプの若者コミュニティーを生み出している」と話す。(c)CNS/JCM/AFPBB News