【11月25日 CNS】中国で店舗の閉鎖が相次いでいた米アパレル大手「ギャップ(Gap)」が、ついに「待ち人」と出会った。11月8日、中国のEC大手「宝尊電商(Baozun)」が4000万ドル(約56億円)の株式対価で、すべて現金取引でギャップのグレーターチャイナ(大中華圏)事業を買収すると発表した。

 12年前に中国に参入したファストファッション界の巨人は、ついに撤退を選択した。買収は2023年前半に完了する予定だ。

 宝尊電商は大中華圏でギャップ製品を製造、宣伝、販売することを独占的に許可され、中国で製品をデザインする権利も持つ。事業契約は 20年間継続。最初の期間は10年で、5年ごとに2回更新することができる。

 近年、多くの国際的なファストファッションブランドが中国市場での地位を失っている。

 ギャップが2021年に中国事業の売却を検討していることが明らかになったほか、H&M、ザラ(Zara)、ユニクロ(Uniqlo)などの大手も店舗閉鎖のジレンマに直面している。ザラの親会社であるインディテックス(Inditex)はZaraの3つの姉妹ブランドについて、中国の実店舗の営業を終了した。

 中国ブランドの成長が著しく、販売ルートも多様化する中、ファッション界の巨人たちは過去のように消費者の心理をとらえられなくなっている。

 宝尊電商は2007年に設立され、ブランドや小売企業向けにITソリューション、店舗運営、デジタルマーケティング、顧客・物流サービス、データ管理などを提供する企業だ。2018年12月以来、ギャップのデジタル事業とEC事業を支援していた。ギャップは中国で3000万人近い会員を擁しており、その幅広いブランド認知度から、宝尊電商は買収に踏み切ったとみられる。(c)CNS/JCM/AFPBB News