■公共の広場

 ツイッターがなくなれば、ジャーナリズムに壊滅的な影響を与えかねないと専門家はみている。

「ツイッターは、実のところソーシャルネットワークではない。ニュースと情報のネットワークだ」とノース教授は指摘。最も資金力のあるメディアでさえ報道部門の人員と予算が削られ、「世界各地の情報源を調査しに行く」ためのリソースがない現在、「ツイッターはジャーナリストが注目すべき情報や記事のアイデア、見出し、情報源、引用文を探せる場所であり、中心的なハブとなっている」と説明した。

 ノース教授は、ツイッターがなくなった場合のもう一つの影響として、世界の富裕層や著名人、政治家は引き続きメディアの注目を集められるが、無名の人が注目を集めるのが難しくなるだろうと指摘。「ツイッターがあれば、誰でも話を発表できる」

 ツイッターは、リアルタイムで情報を共有する手段として機能している。

 メリーランド大学(University of Maryland)のキャロライン・オア(Caroline Orr)研究員は、「ハリケーン、山火事、戦争、感染症の流行、テロ攻撃、銃乱射事件などの際、ツイッターは情報や助言の入手、ネットワーク構築、リアルタイムの情報更新、地域社会における相互援助などの重要なよりどころとなってきた」とツイートした。「他の既存プラットフォームでは代替できない」

 今のところ、ツイッターの代わりになりそうな手段は見つかっていない。リスター氏は「フェイスブックは有用だが、やや時代遅れに感じる」と述べた。

 マスク氏がツイッターを買収してから人気が高まっているマストドン(Mastodon)など、より小規模な競合プラットフォームにユーザーが流出する可能性は高いが、「これらはニッチな存在にとどまり、ツイッターがつくろうとしてきた公共広場にはならないだろう」とハス教授は言う。

 ハス教授とノース教授はともに、代替候補としてレディット(Reddit)を挙げた。ただ、ノース教授は、レディットのようなフォーラム(掲示板)型のネットワークは、断片化され雑然としたサイトデザインが制約となり、ツイッターの使いやすさを再現できないとも指摘する。

 ツイッターに代わるSNSは登場するのだろうか?

「もちろん」とリスター氏は答えたが、そうした創意工夫には莫大(ばくだい)なリソースと膨大な時間がかかるとくぎを刺した。「一朝一夕にできるものではない」 (c)AFP/Thomas URBAIN