【11月19日 AFP】ウクライナ南部ヘルソン(Kherson)に暮らすアナトリー・ストツキーさん(50)は、同市を占領したロシア軍と親ロシア派武装勢力により数週間にわたり拘束され、殴打や電気ショックなどの虐待を受けた。尿には血が交じり、体重は25キロ減った。「自殺も考えた。それでも家族のことを考えると、耐えられた」

 ロシア軍が8か月にわたる占領を終えて先週撤退した後、ヘルソンでは虐待や拷問に関する証言が次々と出てきている。ヘルソン中心部の自宅でAFPの取材に応じたストツキーさんは、ロシア軍と親ロ派勢力により2度拘束された際の体験を語った。

 ウクライナ領土防衛隊に所属するストツキーさんは3月2日、ヘルソンがロシア軍に占領される様子を目の当たりにした。その数週間後、ロシアはウクライナ政府の支持者を拘束し始めた。

 4月25日、妻と3歳の娘と共に自宅にいたストツキーさんは、ロシア軍に拘束された。「家族を殺すと脅されたため、武器を渡した」。頭にフードをかぶせられ、自宅近くの警察署と思われる場所に連行された。

 独房の中で椅子に縛られ、3~4人から尋問された。警棒で殴られ、銃を頭に突きつけられた。ロシア連邦保安局(FSB)の職員とみられるフードをかぶった男性たちから、自宅で見つかった武器についてカメラの前で尋問を受けた。

 指紋とDNAサンプルを採取された上で、市外に出ることを禁じられ、ロシア軍への協力を命じられた。釈放されたのは5月4日で、頭にフードをかぶせられた状態で路上に放り出された。