■対中国の主導権維持

 火星に向けた中継地点ということだけでなく、米国にとっては中国との月面開発競争で先手を打つという意味もある。中国は、2030年までに宇宙飛行士を月へ送り込む計画を立てている。

 NASAのビル・ネルソン(Bill Nelson)長官は、最近のインタビューで「いきなり中国が月に到達し、『わが国の排他的地域だ』と主張しだすような事態は望んでいない」と語っている。

■科学のために

 アポロ計画では、月の石を400キロ近く地球に持ち帰ったが、新たなサンプルは、月という天体とその形成に関する知識をさらに深めるものになると考えられる。

 NASAのジェシカ・メイヤー(Jessica Meir)宇宙飛行士は、AFPの取材に「アポロ計画で米国が採取したサンプルによって、太陽系に対する見方が変わった」と語る。「アルテミス計画にも同じことが期待できると思う」 (c)AFP/Lucie AUBOURG