中国で人気の「国潮」製品 伝統文化を好む若者たち
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【11月15日 CNS】中国ではかつて「韓流」や「日本流」がブームとなったが、最近は自国の伝統文化を取り入れた「国潮(中華風トレンド)」が流行している。
100年の歴史を持つ漢方薬の同仁堂(Tongrentang)は「枸杞(クコの実)のラテ」「陳皮(ミカンの皮)のラテ」「ラカンカのアメリカン」などの新しい飲料を販売。映画では中国の古典を題材にしたアニメ『哪吒之魔童降世(英題:Ne Zha)』『白蛇:縁起(英題:White Snake)』などが大ヒットした。
北京市の故宮博物院(The Palace Museum)では、山水画の名作「千里江山図」のカップや中国風刺繍(ししゅう)マスク、如意錦鯉(ニシキゴイ)のジュエリーの売り上げが好調。伝統文化の要素を備えた製品は、特に若い世代に人気がある。
2018年、多くの中国ファッションブランドがニューヨークファッションウィークの「チャイナデー」イベントで、中国の伝統と現代ファッションを組み合わせたデザインを展示したことが、「国潮元年」の始まりとなった。
それまで中国の消費者は、欧米や日本、韓国のブランドを求めていたが、中国ブランドが若者に支持されるように。eコマース企業「京東(JD.com)」によると、最近の4年間で国潮関連商品を販売する事業者は2.4倍に増加し、関連商品を購入するユーザーは90%増加した。
厦門大学(Xiamen University)ジャーナリズム・コミュニケーション学部の黄合水(Huang Heshui)教授は「新世代の消費者は国産品の品質が急速に向上している時代に成長しており、製品への信頼が高い」と分析する。
各ブランドの2022年中間報告によると、今年上半期に中国のスポーツブランド、安踏(Anta)はナイキ(Nike)に代わり、市場シェアでトップとなった。中国のスポーツブランドとして初となる快挙だ。国産ブランドで有名な李寧(Li Ning)も上半期の売上高が前年同期比で21.7%増加し、市場シェアは8.2%に上昇した。
対照的に、中国でトップ3の地位を長い間占めてきたアディダス(Adidas)は、中華圏において5四半期連続でマイナス成長が続いている。アディダスのカスパー・ローステッド(Kasper Rorsted)最高経営責任者(CEO)は「私たちが消費者について十分に理解していないため、中国の競合他社が飛躍する余地を残している」と話している。
海外の有名企業も、中国の消費者の支持を得ようとしている。中国で25年にわたり営業している日本の小売企業イトーヨーカ堂(Ito Yokado)は、中国の伝統菓子で知られる瀘渓河(Luxihe)桃酥店を北京店に誘致。開店初日は多くの客が詰めかけた。北京イトーヨーカ堂の荒井達也(Tatsuya Arai)董事は「中国国産の製品が台頭してきており、選択肢を増やしている」と語る。
中国の検索エンジン大手の百度(Baidu)が過去10年間の「国潮」に関する検索データを集計したところ、国潮は「バージョン3.0」に向かっているという。当初は伝統的な老舗ブランドのリニューアルから始まり、次いで自動車や携帯電話、化粧品などの国産品が人気を博し、現在は伝統の文化や技術を取り入れた総合的な「国潮」へ発展している。
アナリストは「国潮の進化に伴い、中国の消費者は表面的なものでなく製品の品質、創造性、文化的表現を求めている」とみている。(c)CNS/JCM/AFPBB News