【11月15日 AFP】ウクライナ南部ヘルソン(Kherson)州プラウディネ(Pravdyne)村は、8か月以上ロシアに占領されていた。スウィトラーナ・ハラクさん(43)は、ウクライナ兵が村を解放しにやって来たのを見て、感激して泣きだした。

 州都ヘルソン市の北西約50キロに位置するプラウディネは、2月のロシアによる侵攻開始直後に陥落した。

 ロシア軍は今月11日、同州から兵士3万人の撤退を発表。ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領もヘルソン奪還を宣言した。

 農業地域の真ん中に位置するプラウディネには侵攻前、1000人ほどが暮らしていたが、今では約180人しかいない。

 屋根が吹き飛ばされた家や倒壊した家もある。村のあちこちに、空爆の名残の爆発物の破片が散らばっている。

 ハラクさんの長女は空爆で亡くなった。

 夫のビクトルさん(44)はAFPに対し、ロシア軍から受けた不当な扱いについて語った。

 ビクトルさんはある日、村の離れた場所に住む母親の家に向かっていたところ、ロシア兵に呼び止められ、ひざまずくように言われた。

 本当に村の住民かどうか調べられる間、兵士の一人に手足を縛られた。別の兵士が逃げ出さないよう「手りゅう弾を体の下に置く」と言い出した。

 ビクトルさんは兵士らに娘が既に殺されたことを話し、こう聞いた。「なぜ体の下に手りゅう弾を置くんだ。私たちを皆殺しにしたいのか。目的は何なんだ。お前らはファシストか?」

 幸運にも、尋問が始まる前に兵士の一人がビクトルさんは村人だと思い出し、解放された。

「私たちはウクライナ人だから、ウクライナ兵を見てうれしかった」

 ロシア軍の占領下では食料不足で大変だったという。「ロシア兵は菓子や缶詰、食料を持ってきた。飢え死にしたくなかったので、みんなそれを受け取った」

 ロシア兵ともめたこともあったが、戦おうとは思わなかったという。

「彼らは家族と離れ、ここにいることに不満げで、所在なさそうにしていた」 (c)AFP