【11月13日 Xinhua News】第5回中国国際輸入博覧会(輸入博)の開幕式が行われた4日、キヤノン(Canon)の中国法人、佳能(中国)の小沢秀樹(Hideki Ozawa)董事長兼最高経営責任者(CEO)がメディアの取材に応じた。

 キヤノンの輸入博への出展は5年連続。小沢氏によると、今年はブース面積を500平方メートルに拡大し、テーマごとに四つのエリアに分けた。四大事業の印刷、映像、医療、産業機器に関する先端技術や製品のほか、アジア初公開となる製品やソリューションもそろえた。

 習近平(Xi Jinping)国家主席は4日夜の開幕式にオンラインで出席して基調講演を行い、輸入博を開催することは、開放を拡大し、中国という大きな市場を世界の大きなチャンスにすることだと表明した。

 小沢氏は、習近平主席の基調講演について、ハイレベルの対外開放を堅持するという中国の決意を強く示していると指摘。輸入博はさまざまなレベルの交流や協力を行う絶好の場を提供し、キヤノンを含む外国企業に強い自信を与えてくれると語った。

 佳能(中国)は1997年3月の設立で、2005年から小沢氏が董事長を務める。小沢氏は「中国の外資系企業の中で、一つの会社の董事長を18年も続けているのは私だけだと言える」とし、このこと自体が御手洗(冨士夫、Fujio Mitarai)会長兼社長最高経営責任者(CEO)をはじめとするキヤノン本社の中国にかける期待を表していると話した。

 ここ数年、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行や世界のマクロ経済の悪化に伴い、「外国企業の中国撤退、グローバルサプライチェーン(供給網)の再構築」といった見方がささやかれている。小沢氏はこれに関し、キヤノンは中国だけに限らず海外投資の全体計画を総合的に見直す可能性があり、少なくとも次の二つの要因が背景にあると明かした。

 まずは円安。円は最近、1ドル150円を割り込む場面が何度もあり、日本企業の海外での生産コスト上昇を引き起こしている。例えば中国の人件費高騰など日本企業が海外工場を設けた国にも大きな変化が生じており、少なくとも今は海外生産のメリットが徐々に減ってきている。

 二つ目は、生産自動化の急速な発展。キヤノンの日本国内のカメラ工場は全て自動化され、生産現場で作業員の姿を見ることはない。工場自動化(FA)の急速な発展で、日本国内でも安価な商品の生産が可能になり、国内で生産した方がコスト安になる商品も出てきた。

 小沢氏はその一方で、中国経済への期待と中国への投資拡大という考えは変わっていないと改めて強調。中国の世界貿易機関(WTO)加盟を機に外資が中国になだれ込み、キヤノンの中国への累計投資額も1千億円を超えたとした上で、結果を見るとキヤノン、中国ともに利益を得て、双方ともに勝者になったとの見方を示した。

 キヤノンは以前から中国政府の粤港澳大湾区(広東省・香港・マカオビッグベイエリア)に対する各種政策に注目しており、大湾区での事業推進や成長のための新会社も設立して投資の機会をうかがっているという。小沢氏は、今後も外国企業と中国がウィンウィンの成果を得るために、中国での大型プロジェクトに関する政策や情報が適時に発表され、外国企業が即時に参画できるよう期待していると語った。(c)Xinhua News/AFPBB News