【11月12日 AFP】ウクライナ侵攻で苦戦するロシアの影響力が低下する中、トルコのレジェプ・タイップ・エルドアン(Recep Tayyip Erdogan)大統領は11日、旧ソ連から独立した中央アジア諸国に対し、トルコとの関係を強化するよう呼び掛けた。

 エルドアン氏はウズベキスタンのサマルカンド(Samarkand)で開かれたチュルク諸国機構(OTS)首脳会議で「われわれの国にリスクと同時にチャンスをもたらす不安定な時期」にあるとした上で、「加盟国間での協力、連帯、調和を強化するのがこれまで以上に重要だ」との認識を示した。

 エルドアン氏の中央アジア訪問は2か月で3度目。トルコはロシアがウクライナ侵攻に注力している隙に、ロシアが長らく勢力圏と見なしてきた地域に足場を築こうとしているものとみられている。

 OTSは昨年、チュルク評議会(Turkic Council)が改称したもの。アゼルバイジャンとカザフスタン、キルギス、ウズベキスタンで構成され、トルクメニスタンとハンガリーがオブザーバーとなっている。

 1991年のソ連崩壊後、トルコは旧ソ連から独立したチュルク諸国と政治的同盟を結ぼうと試みてきたが、ロシアの影響力がそれを阻んできた。

 仏パリ政治学院(Sciences Po)で政治学を教えるバイラム・バルジ(Bayram Balci)氏は、旧ソ連諸国とロシアの強い経済的・軍事的結び付きに言及し、「チュルク共同体を創設するというこの夢が始まって以来、ロシアの影響力がその障害となってきた」と指摘した。

 だが、2020年のアルメニアとアゼルバイジャン間の係争地ナゴルノカラバフ(Nagorno-Karabakh)をめぐる紛争と、今年のロシアによるウクライナ侵攻、ロシアの弱体化が相まって、中央アジアでの影響力強化をもくろむトルコに弾みがついている。

 バルジ氏は「ロシアの失敗により他国は足場固めが可能となり、トルコは間接的にその利益を得ている」と指摘した。(c)AFP