【11月11日 AFP】東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議の開催国であるカンボジアのフン・セン(Hun Sen)首相が、出席する各国首脳に国産の腕時計を贈ることが明らかになった。ただしカンボジアには腕時計製造の歴史がなく、この贈り物の妥当性を疑問視する声もある。

 3日間の日程で行われる首脳会議には、米国のジョー・バイデン(Joe Biden)大統領や中国の李克強(Li Keqiang)首相らが出席する予定で、機構にトゥールビヨンを採用した時計25個が贈られるという。

 フン・セン氏のフェイスブック(Facebook)公式ページに投稿された写真によると、時計のマットグレーのフェースには「ASEAN Cambodia 2022」、銀色のケースには「Made in Cambodia(カンボジア製)」の文字が刻まれている。

 近年、スイス製の高級時計を愛用している様子が写真に収められているフン・セン氏も、今回のASEAN首脳会議をはじめ、近く開催される20か国・地域首脳会議(G20サミット)やアジア太平洋経済協力会議(APEC)でも同じ時計を着用する意向を示している。

 この時計をめぐっては、高価過ぎるのではないかとの指摘も出ているが、時計のデザインと組み立てを行ったカンボジア企業のプリンス・ホロロジー(Prince Horology)は、フェースはステンレス製であり、批判には当たらないと説明している。

 ただ同社は、1年半かけて国内で腕時計をデザインし、組み立てたとするこの時計の費用総額を公表していない。

 現地の人権・民主活動家のオウ・ビラック(Ou Virak)氏は、「ここはスイスではない。誰がこの時計を作っているのか疑問視すべきだ。またしてもカンボジア製という印の付いた中国企業の製品でないことを切に願う」と語った。

 米政府系のラジオ・フリー・アジア(Radio Free Asia)によると、プリンス・ホロロジーは、2014年にカンボジア国籍を取得した中国出身の陳志(Chen Zhi)氏率いるプリンス・グループ(Prince Group)傘下の企業だという。(c)AFP/Rose TROUP BUCHANAN