【11月11日 AFP】今年2月にロシアによる軍事侵攻が始まって以降、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領は、あらゆる場面でカーキ色の服を着用し、トレンドを生み出した。

 大統領のカーキ一色の服装はコミュニケーションの武器にもなっており、今では前線から遠く離れた場所に住む市民の中にも、これに倣う人がいる。

 ウクライナ軍の最高司令官でもあるゼレンスキー氏は軍服を着ることもできるが、同氏はスーツから、ミリタリー調の衣服に着替えることを選んだ。

 同氏は侵攻初日から、上腕の筋肉があらわになるオリーブ色のTシャツに同色系のカーゴパンツを合わせ、スニーカーを着用している。寒い日には、これにカーキのフリースの上着を羽織る。

 ファッション誌「ヴォーグ(Vogue)」の元記者で、ファッション史研究家のターニャ・ソロベイ(Tanya Solovey)氏はAFPに対し、「これは非常に安価なスニーカーで、飾り気のなさをアピールしている」との見方を示した。

 ゼレンスキー氏の靴は、「自国が戦時下にあり、自分も地下のシェルターに向かう人々と同じ、シンプルで動きやすい服装をしている」ということを表現していると、ソロベイ氏はみている。

 首都キーウでは、2014年のウクライナ紛争初期にファッションブランド「アビアツィア・ハリチニ(Aviatsiya Halychyny)」が立ち上げられ、南東部マリウポリ(Mariupol)防衛に尽力した兵士をたたえるデザインや反ロシア的メッセージをあしらったTシャツを販売し、人気を集めている。

 販売元は、収益の一部を軍に寄付している。ブランド関係者は「衣服は意見表明の最もシンプルな媒体」であり、「ウクライナ軍への直接的な支持を示し、愛国心を表現するものだ」と語った。

 映像前半はカーキ色の服を着用したゼレンスキー氏。ウクライナ大統領府が4、10日撮影・提供。後半はキーウ市内で撮影した市民。8日撮影。(c)AFP/Daphne ROUSSEAU