【11月10日 AFP】国際人権団体アムネスティ・インターナショナル(Amnesty International)は10日、ロシアがウクライナの占領地から民間人を強制的に移住させていることについて、「人道に対する罪」に当たる可能性があると非難した。

 アムネスティによると、占領された地域の住民は別のロシア支配地域やロシア国内に移住されられたり、子どもが親から引き離されたりしている。

 アムネスティのアニェス・カラマール(Agnes Callamard)事務総長はそうした状況について「ロシアの侵攻がウクライナの民間人に深刻な苦しみを与えていることの新たな証拠だ」と指摘。「強制移動や国外退去は戦争犯罪だ。人道に対する罪を犯した疑いで捜査されるべきだと考える」と述べた。

 アムネスティは一例として、ある女性が「ろ過」と呼ばれる選別過程で11歳の息子と引き離された後、拘束された事例を挙げた。それ以降、息子には会えていないという。

 アムネスティは、ドネツク(Donetsk)州マリウポリ(Mariupol)の住民を中心に、ハルキウ(Kharkiv)、ルガンスク(Lugansk)、ヘルソン(Kherson)、ザポリージャ(Zaporizhzhia)4州に住んでいた88人にインタビューした。

 多くの住民、特にマリウポリ市民はロシアか他のロシア支配地域に行くことを強制された。ロシアに移送された後、ロシアの市民権を申請するよう圧力をかけられたと感じた人や、自由な行動を制限された人もいた。(c)AFP