【11月9日 AFP】弦楽器の弓の材料に使われる、ブラジル北東部にのみ生育する希少な木ペルナンブコの取引禁止に向けた動きが同国で進められている。これに対し米国のチェロ奏者ヨーヨー・マ(Yo-Yo Ma)氏や英指揮者サイモン・ラトル(Simon Rattle)氏は8日、反対を表明した。

 退任が決まっているブラジルのジャイル・ボルソナロ(Jair Bolsonaro)大統領がペルナンブコの取引停止を求めており、25日に行われるワシントン条約(CITES)の常設委員会で協議されることになっている。

 弓メーカーはしかし、アマゾン(Amazon)熱帯雨林の破壊を進めてきたのはボルソナロ氏であり、弓メーカーがペルナンブコの生育を脅かしているとの政府の主張はばかげていると反発している。

 英バイオリンディーラーのマーティン・スワン氏によると、世界の弓メーカーは年間約200本のペルナンブコしか使っていない。2000年以降は「国際ペルナンブコ保護イニシアチブ(IPCI)」を設立し、約25万本を植樹してきたという。

「音楽界を森林伐採の身代わりにはさせない」と主張する取引禁止に反対する嘆願書には、世界の音楽家やオーケストラから数十筆の署名が集まっている。(c)AFP