【11月7日 東方新報】千葉大学(Chiba University)の魯雲(Lu Yun)教授チームと株式会社SNS softはこのほど、東京都で記者会見を行い、共同研究の成果として、新型二酸化チタン(TiO2)光触媒薄膜ボールが、新型コロナウイルスを99.99%、インフルエンザウイルスを99.96%の不活化率で試験検出限界以下に抑えることに成功したと発表した。この研究成果は、新型コロナウイルスの長期常態化という深刻な状況を打破する新技術として、大きな注目を集めている。今後、開発側は、新型TiO2光触媒薄膜ボールを用いて、殺菌・滅菌の空気浄化のための新製品を開発する計画だ。

 TiO2光触媒材料は、光照射による有機汚染物質の分解が可能で、光照射時に発生する活性酸素によって、殺菌・滅菌機能が起こることが、研究により明らかになった。活性酸素は極めて強い酸化還元力による環境中の有機汚染物質の分解が可能で、その極めて強力な殺菌・滅菌機能は、ウイルスや細菌を水と炭酸ガスに分解することもできる。魯雲教授のチームは過去20年間、TiO2光触媒材料の研究開発に取り組み、高性能化、空気や水の浄化への応用を模索し、実りある研究成果を上げてきた。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)にあって、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)とインフルエンザウイルスのTiO2光触媒材料の不活化の開発を迅速に進めてきた。

 今回の開発に使用されたTiO2光触媒薄膜ボールは、魯雲教授のチームが開発した新しい成膜技術である機械成膜法を用いて作製されたものだ。TiO2光触媒薄膜ボールは、TiO2光触媒ナノ粉末や平膜に比べ、水や空気などの移動性汚染物質の処理に有利という利点がある。このたび、光触媒性能に関する日本規格を参照し、第三者研究機関に委託して試験した結果、TiO2光触媒薄膜ボールは、新型コロナウイルスやインフルエンザウイルスの高い不活化性能、及びホルムアルデヒドやアセトアルデヒドの分解性能があることが確認された。TiO2光触媒薄膜ボールの殺菌・滅菌や空気浄化機能を利用し、空気浄化フィルターや殺菌・滅菌フィルターなどの製品開発が可能となる。活性炭などを利用した様々な競合製品が販売されているが、TiO2光触媒薄膜ボールは化学的にウイルスや細菌を分解し、交換なしで永久的に使用できるため、物理的な吸着原理で定期的に交換する活性炭よりも長期・低コストでの使用が可能だ。

 現在、千葉大学の魯雲教授のチームとSNS softは、東京都からプロジェクト開発支援を受けており、すでに少量での生産を行っている。記者会見で、魯教授は「量産された製品が家庭で使われるようになるのはいつになるのか」という質問に対し、「TiO2光触媒薄膜ボールの殺菌・滅菌、浄化機能の大手企業による既存製品への使用や、特殊製品の開発を通じ、一日も早く人類に幸福をもたらす関連製品が発売されることを期待している」と答えた。(c)東方新報/AFPBB News