【11月20日 AFP】セネガルの首都ダカールの北東40キロに位置する塩湖レトバ(Retba)は、観光客に人気の「ピンクの湖」として知られる。

 塩職人協会の会長マゲット・ヌドゥールさんはそのほとりに立ち、「水面が上昇する中で私たちが守ることができたのはこれだけです」と言って、200トンの塩の山を指さした。この浅い湖の塩分濃度は非常に高く、住民にとって塩の採取と販売は高収入の副業となっている。

 だが、湖にのみ込まれてしまう前に何とか確保できた残りの塩も、2か月足らずで全て売れてしまうだろうとヌドゥールさんは語った。

 こうした事態を招いたのは今年の激しい豪雨だ。雨期のピークだった8月には、湖に流れ込んだ洪水のせいで深さが通常の3倍近くにまでなったという。気象当局の専門家は豪雨について、国連(UN)の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)による異常気象に関する最新の警告とも内容が合致すると指摘する。

 洪水の結果、生産された塩約7000トンが流された。ヌドゥールさんによると、経済的損失は25万ドル(約3500万円)相当に上る。

 おまけに増水で塩分濃度は下がり、また水深が増したために、通常は浅瀬で塩くみをする作業員が湖に立てなくなった。

 さらに、この湖に独特の色を与えているのは塩であることから、「塩がなくなればピンク色ではなくなってしまいます」とヌドゥールさんは憂える。それは観光業にとっても悪い知らせだ。(c)AFP/Portia CROWE