【11月7日 AFP】ロシア占領下にあるウクライナ南部の都市ヘルソン(Kherson)は6日、停電と断水に見舞われた。親ロシア派とウクライナ側当局が明らかにした。親ロシア派は、ウクライナ軍が空爆で送電線を破壊したためだとし、へルソン州のダムも一部損傷したと主張している。

 今年2月のロシア軍の侵攻開始直後に陥落したヘルソンで停電が起きるのは初めて。

 ロシアがヘルソン州に設置した「行政府」はメッセージアプリのテレグラム(Telegram)で、「ヘルソンと州内の多くの地域」が一時的な停電と断水に見舞われていると発表。「ベリスラウ(Berislav)とカホウカ(Kakhovka)を結ぶ幹線道路がウクライナ側の組織的な攻撃を受け、高圧送電線の支柱3本が損傷した」のが原因と説明。「迅速な」復旧作業が行われているとして、住民に「平静を保つ」よう呼び掛けた。

 一方、ヘルソン州のヤロスラウ・ヤヌシェビッチ(Yaroslav Yanushevych)知事は、停電はロシア軍の攻撃によって引き起こされたと非難。ベリスラウでは約1.5キロにわたり送電線が破壊されるなど「広範囲に被害が及んでいる」とし、「修復は不可能だ。専門家や設備は不足し、ロシアの占領者は修復を許さない」「ベリスラウが完全に解放されるまで明かりは戻らないだろう」と述べた。

 これより先にロシア国営メディアは、ヘルソン州にあるカホウカダムがウクライナ軍の砲撃で損傷したと報道。現地の救急当局の情報として、「午前10時ごろ、(米国製高機動ロケット砲システム)HIMARS(ハイマース)から6発が撃ち込まれた。防空部隊が5発を撃ち落としたが、1発が命中し、ダムの水門が破損した」と伝えた。地元当局は、被害は甚大ではなかったとしている。

 カホウカ水力発電所とダムは、侵攻開始直後からロシア軍に占拠されている。ウクライナ政府はここ数週間、ロシア軍がダムを爆破し、大規模な洪水を引き起こそうとしていると警告していた。

 ウクライナでは、ロシアの攻撃で過去1か月間に国内の発電施設の約3分の1が破壊された。政府は国民に対し、可能な限りの節電を呼び掛けている。

 一方、ウクライナ軍はこれまで、ロシア占領下の地域でロシア軍が占拠する民間エネルギーインフラへの攻撃はほとんど行っていない。(c)AFP