【11月7日 Xinhua News】中国香港特別行政区で4日まで、金融とIT(情報技術)を融合させるフィンテックのイベント「香港フィンテックウイーク」が開かれている。香港は金融業のデジタルトランスフォーメーション(DX)に力を入れており、多くの海外企業や投資家を引き付けている。

 香港特区政府の陳茂波(ポール・チャン)財政司長がオンラインで講演し「香港のフィンテック企業は5年前には180社に満たなかったが、現在は800社を超えている」と説明。その中には評価額が10億ドル(1ドル=約147円)以上の未上場企業「ユニコーン」も多数含まれ、海外の人材が創業した企業も少なくないとし「香港の開放された市場や厳格な監督・管理制度、整った法体系とインフラ、資本と情報の自由な流通が、この印象的な発展をけん引した」との見方を示した。

 香港コンベンション・アンド・エキシビション・センター(香港会議展覧中心)の会場では、スタートアップ企業が暗号通貨(仮想通貨)での取引をシミュレーションする自動預払機(ATM)を展示したり、商業銀行がブースを設けてブロックチェーン(分散型台帳)やインターネット上の仮想空間「メタバース」などの関連技術に基づいたフィンテックソリューションを紹介したりしている。

 決済や投融資などの金融業務は科学技術によって変わりつつあり、金融の監督・管理部門も時代の変化に伴う課題に直面している。香港金融管理局は昨年、フィンテックの推進戦略「フィンテック2025」を打ち出して、金融業界に対して25年までにフィンテックを全面的に取り入れるよう推奨し、先進的な科学技術を介した銀行の監督・管理プロセスのデジタル化を目指す方針を掲げた。

 仮想経済の台頭を前に、香港特区政府は開放的な態度でイノベーションを受け入れるとともに、起こり得るリスクを慎重な監督・管理によって防ぐという最新の政策的立場を明らかにしている。

 中国本土の金融監督部門も香港のフィンテックの発展を支援する。オンラインでイベントに参加した中国人民銀行(中央銀行)の易綱(えき・こう)総裁は「人民銀は現在、香港金融管理局やその他の通貨当局と人民銀のデジタル通貨を巡って協力を進めている。こうした協力が国際・国内市場のニーズにより良く応え、香港の国際金融センターとしての地位を固めるための追い風になることを願っている」と述べた。

 上海証券取引所の蔡建春(さい・けんしゅん)総経理によると、上海証取は長年にわたり、上海と香港の資本市場が優位性を相互に補完し、協調して発展するよう継続的に推進してきた。蔡氏は今後の方針について、フィンテックと資本市場の協同発展の経験と優位性を十分に発揮し、金融インフラの相互接続を絆として協力をさらに深め、香港の国際金融センターとしての地位固めを後押ししていくと語った。(c)Xinhua News/AFPBB News