【11月1日 AFP】インド西部グジャラート(Gujarat)州モルビ(Morbi)でつり橋が崩落し、130人以上が犠牲となった。事故から一夜明けた10月31日には、あまりにも多くの人が亡くなったことから、埋葬のため列をなす家族の姿があった。

 モルビのイスラム教徒専用の墓地には、数百人が集まった。親族らは職員の助けを借りて墓を掘り、慰め合った。

 同日には37人のイスラム教徒が埋葬された他、約50人のヒンズー教徒が火葬された。

 ひつぎ不足により、埋葬は遅れている。

 有名な観光地として知られる築150年近いつり橋は、先ごろ補修を終えたばかりだった。

 崩落事故が発生した30日は、ヒンズー教の祭典「ディワリ(Diwali)」を祝う最終日で、多くの人が橋を訪れていた。

 地元で事業を営むラフィク・ガーファルさん(45)は、おいのニサル・イクバルさん(21)とアーマン・イルファンさん(12)を埋葬していた。2人は親友だった。

 崩落事故の知らせを聞き、家族は現場に駆け付けた。「大混乱だった」「世界滅亡の日のようだった」とガーファルさんは振り返る。

「水面のあちこちに遺体が浮かんでいて、橋に取り残された人が必死に助けを求めていた」「現場を見て、希望を失った。ただただ、2人の遺体が見つかることを願った」

 ガーファルさん一家は8時間捜したが、見つけることができなかった。午前6時になりようやく2人の遺体が発見された。

「私たち家族は打ちのめされている。この喪失感を克服するのは難しい」

 つり橋は数か月の補修工事を経て通行が再開されたばかりだったが、適切な許可を得ていなかったとも報じられている。

 ガーファルさんは「政府に責任があるのは明らかだ」と訴える。「政府が得る通行料15ルピー(約27円)ぽっちのために、命が失われた」

「正義が果たされるとは期待していない。権力を持つものが国を支配し、貧しいものは苦しむ。誰もその死に責任を持つことはないだろう」

 カデル・バイ・サマさん(80)は、孫が子供の頃よくつり橋に連れて行ったものだった。17歳になった孫のサヒル・ディラワル・サマさんは事故があった当日、3人の友達と連れ立ってつり橋に行った。

「孫は母親に2時間で戻ると言っていたのに、翌日遺体になって戻って来るなんて」

 一緒に行った3人の友人のうち1人は死亡、2人は入院した。

 墓場の職員は犠牲者の家族を支えるため、休みも取らず働いている。「昨晩から一睡もしていないし、食べる暇もない」と責任者のムハンマドさんは話す。

「私たちも動揺している。この痛みを和らげられるものは何もないと感じる」 (c)AFP/Jalees ANDRABI