【11月1日 Xinhua News】中国湖南省(Hunan)長沙市(Changsha)の湖南博物院は10月27日、同博物院の専門家がこのほど、前漢時代の墓葬群「馬王堆(Mawangdui)漢墓」の3号墓から出土した菱文の絹織物「菱文綺(ひしもんき)」に、「安楽如意 長寿無極」という吉祥語(縁起の良い言葉)が刺しゅうされているのを発見したと発表した。出土絹織物から発見された成句の文字としては過去最古のものであり、関連分野の研究の空白を埋める発見となった。

 1972~74年に発掘された馬王堆漢墓には、前漢の諸侯国・長沙国の丞相、利蒼一家3人が埋葬されていた。複雑な技術を持つ精美な漆器や美しい刺しゅうの絹製衣類など3千点余りが出土し、20世紀の世界考古学重要発見の一つとされる。1号墓から出土した利蒼の妻、辛追の遺体は、世界で保存期間が最も長い湿屍(しっし、ミイラ)として知られる。

 3号墓は利蒼と辛追の息子、利豨の墓で、発見時はすでに浸水し、遺物の状態も良くなかった。褐色菱文綺綿袍は「裞衣両笥」と書かれた竹笥の中に畳んで収められていたが、出土時には既に切れ切れになり、他の衣服とくっつき、一つの塊になっていた。

 湖南博物院馬王堆漢墓・藏品研究展示センターの喩燕姣(Yu Yanjiao)主任は「古代の絹織物の保存は大変難しい。これまでに新疆ウイグル自治区のニヤ遺跡で同様の文字の漢晋時代の錦織りが出土しているが、年代は馬王堆よりはるかに遅い。褐色菱文綺綿袍の文字はこれまでで年代が最も古く、製織技術はより複雑で、より美しい絹織物に織り込まれた文字だ」と語った。

 湖南博物院の馬王堆漢墓に対する系統的整理では、これまで登録されていなかった遺物2万1千点余りに整理番号を付加した。うち、織物倉庫からは1万9千点余り、漆器倉庫からは1700点余りが登録された。(c)Xinhua News/AFPBB News