【10月31日 AFP】韓国ソウルの繁華街・梨泰院(Itaewon)で29日夜に起きた雑踏事故で、当局による群衆の誘導対策の不備が惨事につながったとの批判が高まっている。犠牲者は31日までに外国人26人を含む154人となった。少なくとも33人が重体で、今後さらに死者が増える恐れがある。

 政府がソウル中心部に設けた合同献花台には31日、多くの市民が追悼に訪れ、涙を流しながら花を供えた。若者の命が失われるのを防げなかった当局の失態を非難する声が相次いだ。

 AFPの取材に応じた19歳の学生は、「事前に明らかな兆候があったにもかかわらず事故が起きたことが信じられない。安全対策は何も講じられていなかった」と話した。

 69歳の女性は、若者らは3年ぶりの新型コロナウイルス規制のないハロウィーンを楽しもうとしていたとし、「もっと多くの警察官が配備されて秩序維持に努めていれば、こんなことにはならなかっただろう」と語った。

 現場に近い地下鉄梨泰院駅の出口には、数十人が献花に訪れ、白い菊の花やソジュなどの酒を供え、涙をぬぐう姿が見られた。

 メディアやネットでは、警察の当日の対応に不備があった可能性が高いとして説明責任を求める声が高まっている。10万人が曲がりくねった狭い路地に殺到する中、警備は手薄で、群衆を誘導する様子はなかったとの目撃証言がある。

 警察は31日、ハロウィーンに備えて警察官137人を配備していたと説明。人数は例年よりかなり多かったと反論した。ただ、地元メディアによれば、これらの警察官の大半は群衆の整理よりも、薬物使用の監視に重点を置いていた。(c)AFP/Kang Jin-kyu and Shim Kyu-seok