【10月31日 Xinhua News】中国科学院は28日、有人潜水艇「深海勇士」を搭載した有人潜水艇支援母船「探索2号」が一連の海上試験任務を終え、このほど海南省(Hainan)三亜市(Sanya)に帰還したと明らかにした。試験期間中、科学研究員は海底で大深度・原位置科学実験ステーションの設置に成功し、今後の深海無人科学調査の基礎を築いた。

 原位置科学実験ステーションは、中国がここ数年に打ち出した新型の深海装置技術システムで、深海・深淵基地局を核とし、複数種の無人潜水艇を搭載できる。また、化学・生物実験室などのプラットフォームにアクセスして、深海・深淵で一連の科学探査と科学実験を行うことも可能となる。

 中国科学院深海科学・工学研究所の陳俊(Chen Jun)副研究員は「原位置科学実験ステーションの海底設置は、陸上実験室の試験・分析機器全体をそのまま海底へ移したことに相当する」と述べ、海底で採取したサンプルを陸上の実験室に持ち込んで検査測定を行う従来の海洋調査方式に比べ、深海の原位置で科学実験を行うことで、環境変化によるサンプルデータの損壊または損失を回避できると説明した。

 今回設置した原位置科学実験ステーションは、海底で自律的に作動するという。自身の状態監視とインテリジェント管理を行い、全てのデータを深海グライダーの中継通信を介して陸上の制御センターに定期的に送信する。科学研究員は、原位置科学実験ステーションを遠隔で操作することもできる。

 同ステーションはメガワット時級のリチウム電池エネルギー貯蔵システムを搭載しており、エネルギー密度の面で新たなブレークスルーを実現した。このエネルギーシステムは千キロワット時の電力を蓄えられるため、同ステーションの半年以上にわたる連続稼働が可能になる。

 今回の海上試験では有人潜水艇「深海勇士」を通じ、海底基地局と原位置科学実験ステーションの水中接続を行うとともに、基地局の海底航行と自律移動機能、原位置実験室の運行モード自律切り替え機能、誘導結合を用いた無線通信機能などについて検証を行った。

 原位置科学実験ステーションは今後、より多くのインテリジェント化された無人実験・探査・情報伝送システムにアクセスし、深海無人科学調査を実施する。(c)Xinhua News/AFPBB News