【10月29日 AFP】北京冬季五輪でフィギュアスケート女子のカミラ・ワリエワ(Kamila Valieva、ロシア)のドーピング問題が発覚した件で、世界反ドーピング機関(WADA)のウィトルド・バンカ(Witold Banka)会長は27日、ロシア反ドーピング機関(RUSADA)が調査を迅速化しなければ、スポーツ仲裁裁判所(CAS)に提訴するとの意向を示した。

 RUSADAは前週、「要保護者」であるワリエワの「利益を守る」ため、聴聞会の日付や処分内容については公表しない意向を明かした。違反が発覚した当時ワリエワは16歳未満だったため、要保護者の対象となっている。

 バンカ氏は「WADAはカミラ・ワリエワの事案への対応が遅れていることを懸念しており、この問題が速やかに解決されなければCASに直接持ち込む権利を行使すると、RUSADAに正式に通達した」とツイッター(Twitter)に投稿した。

 ワリエワは15歳で出場した2月の北京五輪で女子選手として五輪初の4回転ジャンプに成功し、ロシア五輪委員会(ROC)の団体戦金メダル獲得に貢献した。しかし、昨年12月の検査でトリメタジジン(Trimetazidine)に陽性反応を示していたことが後日発覚。トリメタジジンは狭心症の治療薬だが、持久力を高める効果があることから禁止薬物に指定されている。

 CASはワリエワの年齢を理由に、北京五輪の出場継続を認める裁定を下した一方で、ドーピングの嫌疑を晴らすことはしなかった。

 裁定をめぐって米国などから批判が上がる中、ワリエワは個人戦に出場するも、転倒を繰り返して4位に終わった。また、国際オリンピック委員会(IOC)は、同選手の問題が解決されるまで団体戦のメダル授与は行わないことを決めた。(c)AFP